中国では「結婚しない」「家は要らない」「感動しない」など「10のことを否定する青年」(中国語で「十不青年」)が増えている。就職氷河期が続く中国の若者にとって、“10の否定”は自己防衛という側面もあり、ネット上で多くの共感を呼んでいるという。香港紙「香港経済日報」が報じた。
“十不青年”は主に2000年以降に生まれており、10代後半から20代前半が中心。彼らが否定する10項目は「献血、寄付、結婚、子供、家、宝くじ、株式、基金、高齢者、感動」とされている。
彼らは基本的にお金がないので、寄付ができないし、宝くじも買えない。株式や基金への投資や出資も論外だ。
そして、結婚しないので子供や家もいらない。また、生活は基本的に自分1人分があれば十分。、献血もしないし、両親や祖父母、親戚を含む高齢者を助けようともしないし、淡々と生きるだけなので感動も必要ない……ということになる。
このような背景には、中国での経済の悪化があり、就職難のなかで無職、あるいは低所得となる青年が増えている現状がある。
ちなみに昨年の流行語として、恋愛、結婚、家、子供を否定する「四不青年」というものがあった。そこに6つの否定を加えた「十不青年」については昨年12月5日、陝西省咸陽市在住の教育専門家、藍家康氏が中国最大のQ&Aサイト「知乎」(zhihu.com)で公表したとされ、それ以来大きな反響を呼んでいる。
若者世代が他者との競争をあきらめ、よりシンプルな生活を送ることを選んでいることを物語っており、3年ほど前に流行した「寝そべり族」(競争社会を避け、住宅購入や、結婚・出産を諦めるライフスタイル)や「四不青年」よりも社会に絶望した若者が増えていることを示している。