趣里が主演を務めるNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。昨年10月から始まった放送は残り2週間となった。歌唱シーンが多い“音楽ドラマ”としても人気を集めている同ドラマだが、クライマックスまでにどんな見どころがあるのだろうか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)がついに残り2週の放送を残すのみとなりました。
昨年10月2日にスタートした同作のピークは、1月下旬から2月上旬(第18・19週)。最愛の人・村山愛助(水上恒司)の死と福来スズ子(趣里)の出産、『東京ブギウギ』の国民的ヒットがドラマティックに描かれました。
その後の1か月あまりは、ゴシップ記者・鮫島(みのすけ)の謀略、盟友・茨田りつ子(菊地凛子)との関係危機、幼なじみ・タイ子(藤間爽子)との再会、ベテラン家政婦・大野晶子(木野花)と新人マネージャー・柴本タケシ(三浦りょう太、「りょう」は、けものへんに寮のうかんむりなし)の登場、娘・愛子を置いてのアメリカ公演、父・梅吉(柳葉敏郎)の死、愛子の誘拐未遂など、本題からそれるような小さなエピソードの連続。時折スズ子のステージは放送されたものの、歌唱シーンは短くメインになることはありませんでした。
しかし、『ブギウギ』の魅力と言えば、波瀾万丈なスズ子の人生を見せながらも、視聴者を引きつけてきたのは、さまざまな歌唱シーン。
30曲を歌い上げたスズ子と趣里
幼いころから歌い続けている「恋はやさし野辺の花よ」を皮切りに、梅丸少女歌劇団時代の「恋のステップ」、“スウィングの女王”として目覚めた「ラッパと娘」、母の危篤を聞きながらも覚悟の熱唱を見せた「センチメンタル・ダイナ」、戦死した弟を想い泣きながら歌い切った「大空の弟」。
地方巡業で歓声を浴びた「アイレ可愛や」、日本人と自らを元気づけた「東京ブギウギ」、ワイルドな女豹の衣装で新境地を見せた「ジャングルブギ」、“ややこしい”歌詞に挑んだ「買い物ブギ」など、他作とは一線を画す長く印象的な歌唱シーンを見せてきました。
15日放送の『あさイチ』では30曲も歌ってきたことを聞いた趣里さん自身、「そんなにありました?」と聞き返すほどであり、長時間のライブを開催できるほど歌ってきたことに驚かされます。さらに言えば、少女歌劇や茨田りつ子の「別れのブルース」なども含め、「『ブギウギ』がいかに突出した音楽ドラマだったのか」がわかるでしょう。
そして18日からの第26週のタイトルは「ズキズキするわ」 。いよいよ歌手・福来スズ子と演じる趣里の集大成を見せることになりそうですが、どんな見どころがあり、どこに注目すればいいのでしょうか。