そうした中、医師や医療機関が医薬品不足を認識している場合には処方されたものに類似した薬に変更可と記載するなどの対策を取っている。
「例えば私たちがAの薬を発注しても、結局は入荷が何か月も先になることがあります。そのため、最近では同成分でメーカーの違う薬などに切り替えたりしながら対応しています。ただ飲み慣れた薬を変える際には、きめ細やかな配慮と慎重さが必要です。患者様には丁寧な説明を行ない、納得していただけるよう心がけています」(児島氏)
しかし、医師側にその認識がないケースもあり、現実は薬局での対応が困難な場合もまだまだ多いという。
家に飲み残しの薬がある場合は、お薬手帳にその旨を書き留めておくだけで、処方される薬の量を調整でき、結果的には処方薬の有効活用につながったりもする。
薬の供給不足解消の出口が見えていない現在、まずは医師、薬剤師、患者の意識の共有と連携を深めていくことが、供給回復までの我が身を守る予防薬といえそうだ。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2024年3月29日号