北朝鮮では最近、大規模なイベントが開催されると、人々が捨てたタバコの吸い殻を拾い、そのフィルターを集めて衣料品メーカーに売る“アルバイト”が流行っているという。
タバコのフィルターは綿状の繊維に再生され、衣料品の材料として利用できる。食糧不足に喘ぐ北朝鮮では、貧しい庶民がわずかなお金でも手に入れて、食糧の足しにしようとしているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
故金正日総書記の82回目の誕生日に当たる2月16日。北朝鮮では早朝から市民らが平壌市内の「万寿の丘」にある金日成主席と金正日総書記の銅像を訪れ、花束を供えて、生誕記念日である「輝く星の日」を祝った。
このような金一族の記念日には、多くの市民が集まるため、銅像の前には長蛇の列ができ、手持無沙汰の市民たちはタバコを吸って待っていることが多い。今年は、ある女性たちの一団が清掃員が入るよりも前に、路上に捨てられたタバコの吸い殻を拾い集めていた姿が見られたという。集めたタバコのフィルターを繊維会社や衣料品メーカーに売ると、いくばくかの現金収入になるというのだ。
北朝鮮では、かつてはフィルター付きタバコは、両切りタバコより高価で、金持ちのシンボルともいえるものだったが、2010年代に入ると、国営工場がフィルター付き紙巻きタバコをより安価に製造し始めため、最近ではほとんどのタバコがフィルター付きになっている。