国内

【愛子さま“いまだ霧の中”の将来】安倍政権は「白紙撤回」、岸田首相は「口だけ」、女性皇族の将来に関する結論を先送りにした政府のツケ

曖昧な状況でも、愛子様は前向きに歩まれる(2024年2月、東京・千代田区。写真/JMPA)

曖昧な状況でも、愛子さまは前向きに歩まれる(2024年2月、東京・千代田区。写真/JMPA)

 愛子さまが3月20日、学習院大学を卒業された。4月からは日本赤十字社(以下、日赤)に嘱託職員として勤務しつつ、成年皇族としての公務も担われる。笑顔で卒業式を迎えられ明確な目標を持って社会人になられる愛子さま。しかし、その笑顔の裏には「いまだ将来設計が立てられない」という悲痛な境遇がある。しかも、それは愛子さま自身にはどうしようも解決できない問題なのだ。

 政府は愛子さまが社会人になられるこのときまで、「女性皇族の将来」についての決論を先送りにし続けてきた。内閣法制局が2月28日、女性皇族の配偶者が皇族にならなくても、「夫婦が同等の権利を有する」とする憲法24条に抵触しないとの見解を示した。減り続けていて、公務もままならなくなっている皇族数の確保のため、政府が進める「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する」という案に、お墨付きを与えた格好だ。

 とはいえ、憲法上問題はなくても、「皇族と一般人」という夫婦生活は過去に例がないので不明な点が多く、「本当にできるのか」という声も多い。

「まず経済面はどうするのか。当然、皇族ですから税金から生活費や活動費が出されます。ですが、それはあくまで皇族だから渡されるもので、一般人の夫が使うことは許されません。夫婦の財布をはっきり分けられればいいですが、面倒この上ない。さらに、お住まいの問題もあります。天皇陛下や皇族方が暮らされる、充分な警備がなされた皇居や赤坂御用地などは国有財産です。そこに一般人の夫が暮らすことはできないでしょう。

 とはいえ、女性皇族が“外”の一戸建てやマンションで暮らすとなれば、新たに強固な警備体制を整えなければいけません。莫大な警備費用がかかります」(皇室ジャーナリスト)

 さらに、将来子供が生まれたときに、その子供を皇族とするか、一般人とするか、というような懸案事項もあり、長らく政府が放ったらかしにしてきたツケで、問題は山積みなのだ。

安倍元首相は“白紙撤回”、岸田首相は“口だけ”

 1969年に紀宮さま(黒田清子さん)が生まれてから、2001年の愛子さまご誕生まで、皇室には9人連続で女子が誕生した。

《皇族女子は、天皇および皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる》

 皇室典範がそう規定する通り、将来的に女性皇族が結婚して皇籍を離脱し、公務の担い手不足に陥るのは、愛子さまご誕生のはるか以前から明らかだった。

「本来であれば、愛子さまが物心つく前に、結論が出されなければならなかった。将来的に一般人となるか、それとも生涯皇族として暮らすかではとんでもない差です。ご家庭での教育方針にも影響します。愛子さまの人格と人権をないがしろにする罪深い行為です」(皇室記者)

 チャンスは幾度もあった。小泉純一郎政権下の2004年、「皇室典範に関する有識者会議」が立ち上げられ、2005年11月に《「女性・女系天皇」を認め、皇位継承順位は男女を問わず第1子を優先する》という方針が示された。

「愛子さまが4才を迎えられる直前でした。女性天皇を認めるとなれば、必然愛子さまは一生を皇族として過ごされることになります。そのタイミングであれば、“教育”の時間は存分に残されていました」(前出・皇室記者)

 ところが、2006年9月に、皇室では秋篠宮さま以来41年ぶりの男子である悠仁さまが誕生され、議論は吹き飛んだ。

「悠仁さまのご誕生が、皇族の減少という課題の解決にまったくなっていないのに、女性皇族の将来は見て見ぬふりをされたのです」(前出・皇室記者)

 2011年にようやく、野田佳彦政権が「女性宮家の創設」の検討を始めた。上皇さま(当時は天皇)の孫世代の男子が、悠仁さまおひとりしかいないことはだいぶん前にわかっていたのに、やっと重い腰を上げた形だ。

「女性皇族が結婚後も皇室に残るのは現在の議論と同じですが、“当主として新しく宮家を作る”という点が異なります。この点が保守派の反発を買うことになりました」(別の皇室記者)

関連記事

トピックス

打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン