青春時代が帰ってきた──往年のファンから、そんな声すら聞こえてきた“奇跡の夜”だった。わずか1か月前までメンバーの再集結が危ぶまれていたザ・タイガース。彼らの絆はデビューから半世紀を過ぎたいま、さらに深まっていた。
ステージ上で互いの目を見つめながら何度も固い握手を交わし、圧巻のショーが幕を開けた。
ザ・タイガースのメンバーである瞳みのる(77才)、森本太郎(77才)、そして沢田研二(75才)がリズムに身を任せて、往年の名曲を歌い始めると詰め掛けた観客は一気にヒートアップ。特に沢田の歌声に往年のファンたちはどよめいた。
「まるで全盛期のジュリーに戻ったような透明感のある歌声でした。近年は不安定なステージが続いていましたが、この日は明らかに違いました」(鑑賞したファンのひとり)
3月13日、東京・六本木のEXシアター六本木で「瞳みのる&二十二世紀バンド」の結成10周年記念ライブが開催された。
チケットは早々にソールドアウト。2部構成のライブの第1部では瞳のオリジナル曲や懐かしいロックの名曲が披露され、第2部では沢田と森本がゲストとしてステージに立った。
満員の観客を驚かせたのは沢田の風貌だった。
「自身のライブではいつも髪をセットせず、ひげも伸び放題ですが、この日は髪をセットし、グレーのスーツに赤いネクタイという“正装”スタイル。
残念ながら京都での撮影があったため、メンバーの岸部一徳さん(77才)は参加できなかったのですが、全盛期を彷彿させるジュリーのカッコよさに会場では黄色い声援が飛び交いました」(前出・鑑賞したファンのひとり)
第2部のトークショーはザ・タイガース時代にメンバーがアパートで生活を共にした思い出話などで大いに盛り上がり、アンコールでは3人が並んで名曲『シーサイド・バウンド』をファンと共に熱唱した。当初2時間の予定だったライブは30分ほど延長し、大団円で幕を閉じた。
「ジュリーはここ数年のライブでは歌詞を間違えたり、視力や聴力の低下を自虐的に語ったりして、ファンの間では“いつまで現役でいてくれるのか”と心配の声があがっていました。でも、この日のジュリーは絶好調で、張りのある伸びやかな歌声に“あと10年は歌える!”と思いましたね」(レコード会社関係者)
沢田にとってこの日は、特別な思いだったに違いない。今回のライブは盟友である瞳の“復活のステージ”でもあったのだ。