違法賭博問題が起きてから初めて、ドジャースの大谷翔平選手(29才)が声明を発表した。11分にわたる、質疑応答なしの会見の様子から、臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、言葉では表現しきれなかったであろう大谷の本音について分析した。
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専属通訳だった水原一平氏の違法賭博疑惑で解雇された件について、ドジャースの大谷翔平選手が声明文を発表した。用意された声明を読み上げる形で行われた会見は、政治家が疑惑に対して書面を読み上げるのとは違い、大谷選手は自分の言葉でしっかりと語っている印象が強かった。会見中は語気を荒らげることなく淡々と話していたが、疑惑に対するストレスはかなり強かったのだろう。その衝撃とストレスがどれほどのものだったのか、会見の様子から分析してみた。
「僕も話をしたかったので嬉しく思っている」と会見冒頭話し始めた大谷選手は、「関係者の皆さんもファンの皆さんも僕自身も厳しい1週間だったと思うが」と続けた。表情はいつもより硬く暗く、やや背中を丸めているような感じがする。”厳しい”という表現が、彼がおかれていた心理状態を表していた。「僕自身も信頼していた方の過ちというのを、悲しくショックですし」と続け、「何があったか説明したい」と述べた。だがこの後、大谷選手は鼻をつまみ、鼻をすすり、座っていた椅子の周りを気にして、帽子を触った。
この会見中、このような仕草が何度も見られた。区切りのよいところまで声明文を読み上げ、それが通訳される間、帽子を被り直したり鼻をすすったり、マイクの位置を気にして直したりする。背面を気にして座る位置を直し、座り直すことも度々だ。これまでの会見なら、どしっと構えて座っていることの多かった大谷選手が落ち着きなく、何度も身体を動かす。何があったのか話したいという気持ちの反面、この問題が彼に与えた衝撃がどれほどだったのかが、それらの仕草から見えてくる。
「数日前まで、彼がそういうことをしていたというのも全く知りませんでした」というと何度も頷いた。続けて「結論から言うと、彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつ皆に嘘をついていた」と述べた。「彼が僕の」で一瞬間があき、「口座から」でまた一瞬間があく。「お金を」で息をのむような仕草を見せ、「盗んで」と話した。このような言葉を口にしなければならないことに無意識の抵抗があったのだろう。