1918年創業の台湾を代表する総合電機メーカー「大同公司」。看板商品の「大同電鍋」は、累計1700万台の販売数を誇る万能調理家電。60年以上、台湾で愛されている超ロングセラー商品だ。
日本市場には2015年に「大同日本」が参入し、2万台以上を売り上げている(2023年11月時点)。
「蒸気によって蒸す・炊く・煮込む・温めることができ、同時調理も叶えます」(家電業務推進部の林慕岳さん・以下同)
使い方はいたってシンプル。食材を内鍋に入れてセットし、外鍋に水を注いで、スイッチを入れるだけ。
「外鍋に入れた水が沸騰し、約180〜200℃の水蒸気で食材をムラなく加熱します。外鍋の水がなくなると、自動的にスイッチがオフになり、『保温スイッチ』をオンにしておけば、調理後に約50℃をキープします」
付属の計量カップの容量は180ccで、1杯で15〜20分間、食材を蒸す。時間が長いと感じたら、その時点で止めて、逆に加熱が足りないなら3分以上置き(すぐには加熱できない。時間を置かないと機械の損傷にもつながる)、水を足して再加熱すればOK。そんな“ゆるさ”も魅力のひとつだ。
昨今の調理器具はハイテク化がめざましい。しかし、本製品は1950年代に日本で流行した「自動式電気釜(炊飯器)」がルーツ。どこかレトロな見た目も機能も、当時とほぼ変わらないという。
「ボタンがたくさんあると操作手順に戸惑う場合も多いですが、これはボタン1つでご飯やスープ・蒸し・煮込み料理などに対応し、ほったらかしでも安全。また、台湾では電子レンジ代わりに使っているケースも多いです」
内鍋に入れるのは食材だけでなく、耐熱容器や高温に耐えうる真空パックであれば投入可。容器の上に箸を渡し、その上に皿を重ねるなど工夫次第で同時調理もできる。蓋は高さが約8cmあり、それがきちんと閉まればいい。
さらに、パッキン類が一切ないので洗う手間が減り、本体はアナログ構造で耐久性に優れている。台湾では10年以上の継続使用も珍しくないという。
林さんは語る。
「家電はモデルチェンジを繰り返し、通常2〜3年で淘汰されていく場合が多いですが、本製品はいまでも台湾では毎年40万台出荷しており、世界でも希有なケースだと思っています。日本で一度淘汰された家電が、長い時を経て戻ってきた。その歴史にロマンを感じています」
定番色「きはだ」「緑」に加え、昨年11月には日本限定の新色「チャコールグレー」をリリース。どれもキッチンに馴染む落ち着いた色合いだ。
商品DATA
『大同電鍋 ステンレス製外鍋・Mサイズ』/大同日本/2万2800円
本体サイズ/高さ240×幅310×奥行255mm
内鍋直径/200mm
質量/3.2kg
外・内鍋材質/SUS304ステンレス
カラー(ステンレス製・Mサイズ〈6合〉の場合)/きはだ、緑、チャコールグレー、(ステンレス製・Lサイズ<10合>の場合)/きはだ、白、ネイビーブルー
取材・文/藤岡加奈子
※女性セブン2024年4月4日号