「両親が亡くなり、家で弟と妹の世話をするために小学校を中退。毎日サツマイモを食べていました」などと虚偽の身の上話をでっちあげ、貧しい身なりでネットに登場し、5年以上に渡って視聴者から多額の金を得ていた女が3月18日、裁判で懲役11か月と罰金8万元(約160万円)の判決を言い渡された。中国紙「紅星報」が報じた。
彼女は中国四川省梁山市に住む梁山孟陽と名乗り、2018年からインターネット配信を始めた。粗末な日干し煉瓦造りの家に住み、浅黒い肌と痩せた体で、ボロボロになった汚い服を着て、山に登って薪(たきぎ)を拾ったり、鍬をもって畑仕事をするなどの動画を配信。涙ながらに、「このような生活はもう嫌だ。誰か助けて下さい」などと語っていた。
このような「悲劇的な経験」を売りにした動画が評判を呼び、その後5年ほどで500本以上の動画を作成し、一時は386万人ものフォロワーを獲得、一躍ネットのインフルエンサーに駆け上がった。その一方で「生活の足しにするため」という理由で、農産物などを販売するようになり、これまでに3000万元(約6億円)もの売り上げがあったという。
ところが、彼女に同情したフォロワーが激励しようと現地に行ってみると、貧しいはずの彼女は高級マンションに住み、ブランドの洋服や時計を身に着け、高級レストランで食事をするなど裕福な生活をしていることが分かった。
実は、動画が評判を呼んだことで、彼女は動画作成のための会社を設立して、カメラマンや脚本家などのスタッフを雇い、貧困や悲劇的な人生経験の動画を撮影。安く仕入れた農産物を現地の特産品と偽って高額で売るなどの商売をしていたのだ。
こうした事実が明らかになると、フォロワーらは彼女らの詐欺的行為を訴え、地元の公安当局が昨年9月に彼女を含め仲間も検挙した。そして今年3月18日の裁判で有罪判決が下ったという。