スポーツ

棋士がグラビア登場で先入観が壊される体験 心理士が語る「ゲインロス効果」とは?

藤井聡太八冠(右)と日本将棋連盟の羽生善治会長(時事通信フォト)

藤井聡太八冠(右)と日本将棋連盟の羽生善治会長(時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップする連載。今回は、人気棋士4人が登場した棋士雑誌のグラビア企画について。

 * * *
 今の棋士はここまできたのか!!と、そのグラビアを凝視してしまった。3月27日に公開されたNEWSポストセブンの「勝負の世界に生きる4人の棋士 中村太地八段、都成竜馬七段、斎藤明日斗五段、徳田拳士四段がグラビアに登場」だ。『女性セブン』のグラビア記事がWebに転載されたものだ。

 青色の背景に4人の棋士が立つ。パッと見には、韓国から新しいボーイズグループでも来たのか、という写真だ。だがよく見るとそれぞれタイプは違う。Vシネ俳優に恋愛ドラマの俳優、アイドルにKPOPアイドルといった印象だ。キャプションには「あなたの推し棋士は誰?」。記事のタイトルを見ずにクリックしていたことに気づき、将棋の棋士?と頭の中にある棋士の姿を探しだす。

 真っ先に思い出すのは藤井聡太竜王名人で、いつも物静かで落ち着いている。どちらかといえば”静”の印象が強い棋士だ。次に思い出すのは羽生善治九段で、メガネがトレードマークの真面目そうな風貌が浮かんできた。藤井竜王の師匠である杉本昌隆八段や、タレントとしても活躍する加藤一二三氏など、将棋雑誌やビジネス誌のグラビアで対局の様子やインタビュー風景を見ることはあるが、今回の女性誌のグラビアをメンズモデルやアイドルのように飾るということとは無縁のイメージしかない。人気の藤井竜王ですら、これまで持っていた棋士の古いイメージを踏襲していたから、その「先入観」は強かった。先入観は無意識のうちに生じている固定観念だ。

 記事タイトルだけなら興味をもたなかっただろう。だがグラビア写真となれば話は別、そのインパクトは大きくて、瞬時に先入観が覆され興味をそそられる。こんな棋士がいるんだ!?である。古い棋士のイメージが強いなら、グラビアから与えられる情報の変化によって印象が変わっていくという「ゲインロス効果」を実感できるはずだ。この効果にはゲイン効果とロス効果がある。ゲイン効果は最初にマイナスの印象を持っていても、その後に与えられるプラスの情報によって、印象が良くなりやすいというもの。ロス効果はその逆で、ポジティブな印象が、後からの情報によってネガティブな印象に変わりやすいというもので、2つを合わせてゲインロス効果と呼ばれる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

広末涼子容疑者(写真は2023年12月)と事故現場
《広末涼子が逮捕》「グシャグシャの黒いジープが…」トラック追突事故の目撃者が証言した「緊迫の事故現場」、事故直後の不審な動き“立ったり座ったりはみ出しそうになったり”
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
【広末涼子容疑者が追突事故】「フワーッと交差点に入る」関係者が語った“危なっかしい運転”《15年前にも「追突」の事故歴》
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
「全車線に破片が…」広末涼子逮捕の裏で起きていた新東名の異様な光景「3kmが40分の大渋滞」【パニック状態で傷害の現行犯】
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
広末涼子(時事通信フォト)
【広末涼子容疑者が逮捕、活動自粛発表】「とってもとっても大スキよ…」台湾フェスで歌声披露して喝采浴びたばかりなのに… 看護師女性に蹴り、傷害容疑
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン