米東部ニューヨーク州ブルックリン地区の検察当局は3月26日、モンゴルのスフバータル・バトボルド元首相が2012年と2015年に購入したマンハッタンのミッドタウンにある2棟のマンションを没収処分にしたことを明らかにした。
同地区の連邦検察官によると、スフバータル氏はモンゴルの銅鉱山の採掘において、香港の会社と違法な採掘権契約を結び、そこで得た資金でマンションを購入。これが米連邦法に違反しているという。ロイター通信が報じた。
スフバータル氏の不正な取引が明らかになったのは、米財務省が2月、米国の不動産市場を通じた違法な資金の流れを掴んだため。財務省当局によると、2015年から2020年の間に米国の不動産を通じて23億ドルものマネーロンダリングが行われたという。
スフバータル氏が購入したマンションの購入資金は、同氏が首相在任中(2009~12年)に不正な手段で得られたものだという。
この資金は、2011年に香港で登記された会社が、モンゴル北部にある世界有数のエルデネト銅鉱山から銅精鉱を購入するために締結した6800万ドル(当時のレートで52億円、1ドル=83円)の採掘契約の際、同氏に不正に渡ったものだという。
検察によると、スフバータル氏とその家族はマンション2棟を2012年と2015年に合計1400万ドルで購入している。2013年に同氏の息子が米国の銀行口座を開設する際に、2012年に購入したマンショを郵送先住所として使用しているほか、2015年購入のマンションの「共同所有者」として同氏の息子が登記されていたという。
これらの容疑について、スフバータル氏は代理人の弁護士を通じて、「これらの根拠のない主張に対して、自分を弁護する機会が得られる法廷に立つ日を楽しみにしています」との声明を発表している。
スフバータル氏は2009年から2012年までモンゴル首相(兼モンゴル人民党書記長)で、現在も国会議員を務めている。2010年10月には訪日し、横綱・朝青龍の断髪式でハサミを入れている。2012年3月にも妻と共に日本を訪れ、3月12日には野田佳彦首相と会談している。