ドジャース・大谷翔平(29)の元通訳・水原一平氏(39)の違法賭博問題は、シーズン本番を迎えても収束しそうにない。日本では大谷の会見がひとつの“区切り”として受け止められたが、現地・米国では大きく事情が異なる。稀代のスターである大谷の前には今、長く険しい道のりが待ち受けている。
ドジャーブルーのユニフォーム姿を初めて“敵地”のスタジアムに披露する舞台で、観客からは怒号が飛び、大ブーイングに包まれる──今季の大谷を待つのは、そんな未来ではないか。
通訳を務めていた水原氏の衝撃の「違法賭博解雇」を受け、大谷は会見(日本時間3月26日)で「ショックという言葉が正しいとは思わない」と声を振り絞った。信頼を置いていた“相棒”を失った姿は日本人の目には儚げに映り、大谷を応援する声が溢れたが、米国での見方は異なる。米国在住の日本人ジャーナリストが語る。
「米国内のX(旧ツイッター)での主な論調は『会見を開いたことは評価する』というもので、『なぜ質疑応答を受け付けなかったのか』『内容には多くの疑問が残る』といった批判的な意見は依然として多い」
日本では、会見翌日の古巣・エンゼルスとのオープン戦で大谷の凱旋に歓迎ムードが溢れていたことが強調されて報じられたが、そうした温かい雰囲気はむしろ例外的になるとみられている。
「もともと、ドジャース加入前に移籍先候補とされ、大谷が“袖にした”かたちとなったヤンキース、メッツ、ジャイアンツなどの名門球団の本拠地では今季は激しいブーイングも予想されていました。そこにきて疑惑の全容が解明されないまま米国でも開幕を迎えたわけで、敵地のスタジアムがさらにシビアな空気に包まれることは想像に難くない」(スポーツジャーナリスト)
水原氏は大谷の口座から違法なブックメーカーへ450万ドル(約6億8000万円)の送金をし、それが「大規模な窃盗」であるというのが大谷や代理人の説明だが、疑問は残っている。『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑』の編著者で、メジャー事情に詳しいスポーツジャーナリストの友成那智氏が指摘する。
「本来、会見で明確にしないといけなかったのは、水原氏がどうやって大谷の口座から勝手に送金できたか。この謎が解明されない限り、米国メディアが大谷に対して抱く疑念が消えることはないでしょう」