創業86年の鋳物メーカー・石川鋳造が2017年に開発した「おもいのフライパン」のコンセプトは「世界で一番お肉がおいしく焼ける」。その思いが多くの食通に伝わり、累計販売枚数は7万枚を超えた。
「鋳物のフライパンは熱伝導率がよいのが特長です。煙が出るほど熱しても問題のない無塗装にしたため高温調理ができ、お肉の表面をカリッと焼き上げて、内側に旨み成分を閉じ込めることができます」(代表取締役社長の石川鋼逸さん・以下同)
肉へのこだわりを追求した「頂」の焼き面には、高低差と広狭差のある波のような凹凸が刻まれている。これにより、食材への熱伝導が不規則になり、ゆっくりと熱が伝わって、旨み成分を残存させるという。そのうえ、余分な脂も落としてくれる。
蓄えた熱を逃がしにくいことも鋳物の利点だ。肉の旨みを閉じ込めた後は、余熱でじっくりと火が通る。本製品は鋳物の特性を生かしつつ、調理時の使い勝手のよさを追求したため、焼き面を5〜6mmとした。
今回、同社がタッグを組んだのは、調理家電などの生活関連用品の企画・開発・販売を行う「ドウシシャ」だ。鋳物のフライパンは熱伝導率がよい半面、火加減が難しいという声もある。しかし、電気卓上コンロであれば簡単に扱える、という発想から両社の技術を結集させたが、困難を極めたのは取っ手の熱さ対策だった。
「開発当初は取っ手に焼き面の熱さが伝わってしまいました(電化製品は「電気用品安全法」により、製品使用中の取っ手の温度は55℃以下に定められている)。試作を繰り返し、取っ手とその手前のスペースにL字型の空間を設けたところ、素手で触れる温度にまで下がったのです」
本製品は「頂」と「深型」のフライパンがセットに含まれ、直火やオーブンにも対応。焼く・煮る・揚げるなどオールマイティーに使える。
「深型はすき焼き鍋にもなり、卓上での揚げ物調理もおすすめです。蓄熱性が高いので、食材を投入しても温度が下がりにくく、旨みを閉じ込めた香ばしい天ぷら料理などが絶品です」
2つのフライパンを重ねれば密閉され、炊飯など無水調理もできる。卓上コンロの温度は弱(約110〜150℃)・中(約160〜190℃)・強(約200〜250℃)の3段階で調節可。上がりすぎれば自動でオフとなり、下がればオンとなる。安全で失敗のない点もうれしい。
◇本製品は「おもいのフライパン公式オンラインショップ 」、愛知県碧南市の「体感基地おもいのフライパンBASE(直営店)」で購入できる。近日、碧南市のふるさと納税の返礼品にも加わる。
※電化製品は「電気用品安全法」により、製品使用中の取っ手の温度は55℃以下に定められている。
【商品DATA】
『おもいのフライパン スクエア 電気卓上コンロ フルセット ドウシシャVer.』石川鋳造/5万5000円。
(写真・上)スクエア 頂/外径:幅250×奥行250×高さ30mm、重量:2.1kg
(写真・中)スクエア 深型/外径:幅250×奥行250×高さ60mm、重量:1.95kg
(写真・下)専用電気卓上コンロ。立つ兼用ふた、収納スタンド、なべしき、マグネット式電源コードが付属。
取材・文/藤岡加奈子
※女性セブン2024年4月11日号