自民党が派閥の「裏金問題」の処分をめぐって大揺れするなど、「政治とカネ」の問題が次々と噴出するなか、ニュースで取り上げられる機会が増えているのが「政治資金収支報告書」だ。政治団体が誰からどれだけの寄附を受けているか、集めた政治資金を何に使っているかなどを公表するものだが、報告書が検索やデータ分析に不向きな形式であることが長年問題視されてきた。改善が遅々として進まないこの領域に、人工知能(AI)を駆使して斬り込む人物がいる──。
政治資金規正法では「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」に政治団体の収支を公開するものと定めている。しかし、インターネット公開されているケースでも、団体側の大半は報告書を紙で提出し、それがPDF化された形式であるため、内容の検索や分析が困難になっていた。詳細な分析を受けたくない政治家側があえて“アナログすぎる形式”にしているとの声さえある。
そんななか、AI技術を使って政治資金収支報告書をデジタル化する取り組みが活発化している。政治資金収支報告書のデータを集計・分析した結果を公開するウェブサイト『政治資金データベース』開発者・小林ノエル氏(40)はその分野に取り組む1人だ。
「自民党本部の1年分の報告書なら一晩でデジタル化できる」と語る小林氏は、投資アプリを開発・提供するスタートアップ企業「ブルーモ証券」の幹部だ。AI自動読み取り処理(OCR)とその検算を自動化するプログラムを組むことで、作業の省力化に成功。2021年10月の衆議院選挙前ごろから、収支報告書のデータをサイトで公開している。
AIを駆使することで、何が可能になったのか。小林氏に詳しい話を聞いた。