男性における美容医療の普及が進む中で、美容医療まで手を出さない範囲のメンズメイクに対しては、新社会人となる男性の半数以上が肯定的な印象を持っていることが花王の2024年2月の調査によって示された。
男性向けの美容市場は成長中
ヒフコNEWSでは男性の美容に対する関心の高まりを何度か伝えている。矢野経済研究所の調査では、男性の美容市場は2021年度に前年比2.1%増加の2025億円と予測された。2020年度はコロナの活動制限で減少していたが、増加に転じて、今後も増加が予測されている。
同じ矢野経済研究所のエステ市場に関する調査によれば、エステ市場全体は2023年度に前年比99.2%の3139億円と予測されたが、男性向けエステサロンの市場は前年比2.5%増加して162億円と予測されていた。
男性の美容医療や化粧品の使用は広がりを見せており、身だしなみの一環として注目する人は増えているようだ。
今回、花王では新社会人となる男性学生を対象として、身だしなみや清潔感への意識、男性のメイクについてのアンケートを実施している。対象としたのは、美容に関心がある17歳~26歳の男性600人ということなので、もともと美容への意識の高い人を対象とした調査ではあるが、男性の美容への関心を反映している可能性はある。
男性の美容関連の情報は不足
こうした調査から分かったことの一つとして、メンズメイクに対するポジティブな意見が半数以上を占めていることがあった。
具体的には、調査からは身だしなみや清潔感への意識が高い上に、メンズメイクに対して「好意的・肯定的」と回答したのは55.8%で、「抵抗あり」の8.6%を大幅に上回っていると明らかになった。「特に関心がない」などの「その他」が35.6%で、この層も少なくはない状況といえる。
「好意的・肯定的」と回答した人たちの声は次の通り。
• 自分を良く魅せようとしているので良いことだと思う
• 最近は流行ってきており抵抗が減ってきた
• 本人の自由であり、その人に似合えば良い
• 多様性がありいい
• 身だしなみの一環として清潔感を高めることができ、良いこと
それに対して「抵抗あり」と回答した人たちの声は次のようになっている。
• 面倒
• 少し敷居が高い
• 自分はしようとは思わない
• 少し抵抗がある
抵抗感を示した回答者の中には、自身に必要性が感じられないという理由でメイクをしないという意見が目立っている。花王の実施した調査結果では、約半数の男性がメイクの開始点や適切なアイテムの選択に迷いを感じていることが明らかになっている。情報の不足がこのような状況を招いているとも指摘されており、今後はそのギャップを埋めることが課題かもしれない。
男性の美容に関する情報がもっと求められる時代になるのかもしれない。
参考文献
新生活に向けて、身だしなみや清潔感に 気をつけたい新社会人・就活生男性は7割以上! ~メンズメイクの始めの一歩、簡単『身だしなみメイク』のご紹介~
国内エステ市場4年連続で縮小、レディスの施術は苦戦もメンズエステが拡大、矢野経済研究所が報告
男性美容が再びの盛り上がり、コロナ規制解除きっかけ、メンズ韓国コスメにも関心
男性看護師座談会 Vol.1 「美容医療現場で働く男性看護師に聞いた!よくお願いされる施術は?」
男性看護師座談会 Vol.3 「美容医療の客層に変化 男性に人気の施術と未成年の二重施術をやらずに返した理由は?」
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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