ライフ

ワイヤレスイヤホン普及で続発するトラブル ノイズキャンセリング機能の進化でさらに深刻に

写真左上から時計回りに、マイクロソフトの「サーフェス・イヤバズ」、アップルの「エアポッズ・プロ」、グーグルの「ピクセルバズ」、アマゾン・ドット・コムの「エコーバズ」。[各社提供](時事通信フォト)

写真左上から時計回りに、マイクロソフトの「サーフェス・イヤバズ」、アップルの「エアポッズ・プロ」、グーグルの「ピクセルバズ」、アマゾン・ドット・コムの「エコーバズ」。[各社提供](時事通信フォト)

 スマートフォンの普及とともに「歩きスマホ」や「ながらスマホ」による事故が社会問題として注目され、2019年には運転者への罰則が強化され反則金も普通車で3倍になった。その直後は死亡重傷事故が減ったものの再び増加に転じ、2023年には「ながら運転」が要因で発生した自動車の死亡事故件数は122件、統計が残る2007年以降で最多となった(警察庁調べ)。このスマホにまつわる事象と同じくらい、危険が迫っているのがイヤホンだ。ライターの宮添優氏が、ワイヤレスやノイズキャンセリングなど高機能化し便利になったイヤホンによって、どんなトラブルが発生しているのかをレポートする。

 * * *
 スマホなどのモバイル機器の進化とともに、従来は有線式が当たり前だったイヤホンも、ケーブルがないワイヤレスタイプのものが主流になりつつある。アップルの「AirPods」シリーズなど、各メーカーが続々と新商品を売り出している。特に、周囲の音を聞こえにくくする機能を備えるノイズキャンセリングイヤホンが人気だ。そんな中、このワイヤレスイヤホンについて取材した大手キー局社会部記者は、法律が現実に追いついていないため、あちこちでトラブルが起きていると訴える。

「着用して車や自転車を運転することも、もちろん、着用して街中を歩き回っても、それ自体に罰則があるわけではありません。しかし、取材をすればするほど危険な状態に陥っていることがわかります。まさに法が実情に追いついていないのです」(社会部記者)

 誤解のないようにいえば、イヤホンを着用していたことが原因で事故を起こした場合は、安全運転に努めるドライバーの義務を怠ったとして、道路交通法で検挙される場合がないわけではない。また、数多くの自治体では、運転中のイヤホン禁止をそれぞれの条例によって規制している。しかし、イヤホンが原因の事故は、実は公式発表よりも多く発生しているのではないかと、先の記者は疑問を呈する。

「実際、イヤホンをしていた運送ドライバーが事故を起こしたり、イヤホン着用の自転車利用者が車にはねられた、というような情報がテレビ局に寄せられたりもしますが、結局、イヤホンが原因と警察は断定しない。かつて取材した男性は、イヤホンで音楽を聞きながら車を運転し事故を起こしましたが”外音取り込みの機能を使っていた”と主張して、結局、イヤホンが事故の原因とはならなかったのです」(社会部記者)

 音楽への没入感が得られるノイズキャンセリングイヤホンだが、たとえば外をランニングするときなど、周囲の音がまったく聞こえないと近づいてくる自動車や自転車などを音から察知することができない。そういった危険を回避するために、周囲の音が聞こえる「外音取り込み」「ヒアスルー」「トランスペアレンシー」など、様々な呼び名の機能を搭載するのが普通になってきた。だがそれらの機能はユーザーがみずから切り替えないとならないため、億劫がって危険な場面でも音楽以外は聞こえないままイヤホンを使い続ける人も少なくない。その結果、ひやりとする場面どころか事故に繋がっているというわけだ。

関連記事

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン