ライフ

ニ階俊博元幹事長と林家木久扇 あまりにも対照的な「引き際」の違いについて

衆院選不出馬で記者会見する自民党の二階俊博元幹事長(時事通信フォト)

衆院選不出馬で記者会見する自民党の二階俊博元幹事長(時事通信フォト)

 人生100年時代とはいえ、区切りは訪れるものである。そこでの振る舞いが“晩節”を決定づけることもある。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *

「もしかしたら“引き際”にこそ、その人の本質や値打ちが表われるのかもしれない」

 つい最近、そう思わされる対照的な「引き際」の光景を目にしました。自民党の重鎮である二階俊博元幹事長の記者会見と、落語界の重鎮である林家木久扇さんの最後「笑点」です。二階元幹事長は85歳、木久扇さんは86歳と、奇しくもほぼ同年代です。

 二階氏の記者会見は、自分が次の衆院選に出馬しないと発表するものでした。冒頭で用意されたコメントを読み上げ、その後の記者の質問には、お供っぽく横に立っていた林幹雄元幹事長代理がおもに応対します。政治家は自分の言葉で思いを伝えるのが仕事のはずですが、よっぽど疲れてらっしゃったのでしょうか。

 このタイミングでの不出馬表明には、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題に対する党の処分を逃れるためではないかとか、息子に地盤を継がせる思惑があってのことではないかとか、たくさんの疑問が向けられていました。ところが、二階氏は「政治的責任を」などと抽象的な言葉を不機嫌に力なく並べるばかりでした。

 耳を疑う“事件”が起きたのは、記者から「このタイミングで次の衆院選の不出馬を決めたのは、不記載の責任を取ったのか、年齢の問題なのか?」と質問されたとき。「不記載」については、林元幹事長代理から「(初めにメモを読み上げたコメントで)申し上げた通りでございます」という回答がありました。

 続けて二階氏は、ムッとした口調で「(政治家に)年齢の制限があるか?」と逆に質問。それに対して記者が「年齢制限はないですが、お年を考えてということですか?」と尋ねると、この日いちばんの怖い顔で記者をにらんで「お前もその年が来るんだよ」と吐き捨てます。さらに続けて、小さな声で「バカヤロウ」とも。

 記者会見での発言は、国民に向けての発言と同じです。明らかに不適切な言葉が出てきてしまうのは、年のことを聞かれたのがよっぽど気に障ったのかもしれません。それ以外の場面でも、表情にせよ態度にせよ発言にせよ極めて居丈高でした。ここまで見るものの感情をマイナス方向に持っていくのは、さすがの貫禄と言えるでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン