かつては「アイドルの通う高校」として有名な学校もあった。『スター誕生!』を機に森昌子、桜田淳子、山口百恵の“中3トリオ”が人気になった1970年代前半、オーディション番組が続々と誕生し、芸能人の低年齢化が急激に進んだ。それに伴い、受け入れ先の高校が必要となったのだ。
フォーリーブスなどの卒業生を送り出していた堀越高校には1973年、「芸能活動コース」が設置され、森昌子や岡田奈々らが通った。山口百恵の入学した日出女子学園には、原田知世や菊池桃子などが後に続いた。明治大学付属中野高校の定時制には、麻丘めぐみや中森明菜などが在籍した。
堀越は1996年に名称を「総合トレイトコース」に変更。日出女子学園は2000年に男女共学になり、2019年に目黒日本大学高等学校に改称され、日大の準付属校に。明大中野の定時制は2003年に廃止されている。
初々しく眩しかった制服レコードジャケット
現役高校生アイドルが脚光を浴びたことで、1980年代に入ると、アイドルのレコードジャケットにおける制服使用が増加していく。1981年9月、『少女人形』でデビューの伊藤つかさはドラマ『3年B組金八先生』第2シリーズでのイメージ通り、学生服を身にまとった。柏原芳恵『春なのに』、おニャン子クラブ『じゃあね』など卒業ソングを歌うケースも増え、その傾向は顕著になる。
学生役のアイドルが映画やドラマの主演やヒロインを務め、主題歌を歌う例も目立つようになる。代表例は薬師丸ひろ子や中山美穂で、南野陽子は裏面のジャケットで『スケバン刑事』の格好をしていた。アイドルが雲の上から身近な存在になった1980年代。虚像から実像に近づく一つの武器として、制服ジャケットが急増したのかもしれない。
※週刊ポスト2024年4月12・19日号