かつて海外の娼館へと出稼ぎにいった女性たちは“からゆきさん”などと呼ばれ、明治末期には盛んに貧しい家庭の娘たちが売られていった。この歴史上の出来事だと思っていた日本人女性による“海外出稼ぎ”が、求人サイトによって復活していた。ライターの宮添優氏が、海外出稼ぎ経験者に体験を聞き、その仕事に潜む危険についてレポートする。
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「海外出稼ぎ」などと謳い、求人サイトを使って海外での売春を斡旋したとして、警視庁は4人の男を逮捕した。3人はおおむね容疑を認め、1人は「サイトは作ったが、売春の仕事募集とは思わなかった」と一部容疑を否認しているという。民放キー局社会部デスクは、やっと摘発に至った事案なのだと振り返る。
「男たちは、ネットで堂々と、海外で金を稼げると日本人女性を大々的に募集していました。ホームページは少なくとも2021年ごろに開設されたとみられ、およそ200~300人の女性を主に北米の業者に紹介。ホームページ以外から応募してきた女性も同数いるとみられ、3年間でおよそ2億円を得ているようです」(民放社会部デスク)
男らが開設していたのは「海外出稼ぎシャルム」なるホームページで「エスコート」や「ソープ」などといったキーワードを散りばめ、仕事の内容が売春に他ならないことを表示していた。その上で3年間もの間、実に堂々と募集をかけていたのである。事情通の間では公然の事実であり、当局はなぜ摘発しないのかと言われていた。だからこその「やっと摘発」なのである。
「以前、アメリカなどに入国する際、渡航目的をやたら詳しく聞かれたり、入国を拒否され帰国を余儀なくされたという日本人女性が増えていると報じられました。当時は、単なる偶然ではないか、身なりが派手すぎたのではないかという意見もありましたが、少なくない日本人女性がどんな仕事をしようとして渡航しているのか海外当局も把握しており、今回の事件で、噂が事実だったと裏付けられた形です」(前出の民放社会部デスク)
一部メディアには、この件の”被害者”とされる女性が登場、また、別のメディアに至っては、海外での売春により大金が得られると少なくない日本人女性が海外へ向かっている実情を伝えた。だがそれは、あくまでも斡旋業者が用いていた、募集のための謳い文句である。実際のところはどうなのか。
出稼ぎ先は香港、マカオから北米へ
「10年前だと、人気の出稼ぎ先は香港やマカオばかりでした。中国経済が絶好調で、中国でありながら本土よりも自由な経済活動ができる香港とマカオへ、日本人も含めたアジア人女性を”買う”目的で中国人富裕層、そして世界中から白人男性が大挙して押し寄せていました」