香港の「学問の自由度」が2013年から2023年の10年間で大幅に低下している。ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学とスウェーデンのヨーテボリ大学の合同調査をまとめた報告書によれば、2013年では100満点の69ポイントだったものが2023年には24ポイントだったことが明らかになった。
報告書では「2020年に施行された中国政府による香港国家安全維持法が香港の学問の自由に前例のない圧力をかけている」などと指摘している。香港各紙が報じた。
今回の調査は世界170以上の国と地域での「学問・研究の自由」や「大学の自治」、「他国の大学との学術交流」、「政治的動機による監視や侵害」、「政治問題に関連する学問の自由や文化的表現」について行われた。
報告書では「香港が2013年と比較して学問の自由の5つの指標すべてで低下していることが明らかになり、過去10年間に学問の自由が著しく減少している」と結論付けた。
さらに「中国政府が2020年6月に施行した香港国家安全維持法により、民主化を求める抗議活動と騒乱が続き、多くの大学生が逮捕、投獄され、大学が学問を追求する場でなくなっている」などと指摘している。また、「これらの混乱によって、海外からの留学生が減少しており、他の国々との学術交流が著しく停滞している」としている。
総合評価では、香港は179の国と地域の中で下位10~20%のランクに位置づけられており、同等のレベルとしては、ヨルダンやカンボジア、ロシア、インドなどが含まれている。
これについて、香港政府関係者は香港メディアに対して、「学生運動によって香港の都市機能は混乱し、大学内の秩序も崩れ、学問の場でなくなった時期もあったが、いまでは秩序と安定が回復され、学問の自由も取り戻している」などと反発している。