弟子の暴力問題を受けて当面閉鎖となった宮城野部屋。親方や力士らの転籍先となる伊勢ヶ濱部屋への引っ越しも完了し、4月8日には“合併”してから初の朝稽古が始まった。約40人の力士が集まるなか、宮城野親方(元横綱・白鵬)が稽古まわし姿で稽古場に降りて指導。まさに一からの出直しとなるが、“相撲部屋の大合併”には様々な困難が待ち受けている──。
宮城野親方が稽古をつけることになったのは、転籍先の慣例に従った格好だ。相撲担当記者が言う。
「伊勢ヶ濱部屋では、引退して間もない部屋付き親方が稽古まわしをつけて稽古場に立つのが慣例で、安治川親方(元関脇・安美錦)や楯山親方(元前頭・誉富士)もやってきたこと。宮城野親方もアピールの意味合いもあったのでしょう。
伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)が“そういう気持ちを前に出していくのは大切。これからもそうやってほしい”とコメントしていたが、これからが大変というか、最初に自分でハードルを上げてしまったことでもう途中で投げ出せなくなってしまった」
宮城野部屋の閉鎖は期限の決まっていない措置だが、1場所ごとに伊勢ヶ濱親方が協会に状況を報告する。協会側が措置の解除を認めれば、宮城野親方は師匠に戻れるわけだ。宮城野親方がどこまで前向きに取り組めるかが注目されている。
「とにかく力士が約40人の大所帯になったことで、想定外のことが起きる。稽古も土俵がひとつなので、初日は序ノ口から始めて幕内まで4時間半の稽古になった。もともと伊勢ヶ濱部屋は稽古が長いことで知られているとはいえ、終わったのが12時半。異例の長さです。稽古が終われば風呂、ちゃんこと続くが、風呂は1時間半待ち、ちゃんこ番は4班から6班に増やし、1食に炊くごはんは3升から6升(9キロ)になったそうです。
今回の転籍では他にも、2017年の横綱・日馬富士(当時)の暴力事件の現場にいて関係性が悪い宮城野親方と横綱・照ノ富士が同じ部屋になって軋轢が生まれないかなど、懸念点がたくさんある」(前出・担当記者)