3月にUNDP(国連開発計画)が発表した、その国の暮らしの豊かさを示す「人間開発指数【※1】」(2023〜2024年)で3年連続トップに立ったのはスイス(ちなみに日本は24位)。観光立国でもあるスイスは、6〜10月にかけて夏季のベストシーズンを迎える。ヨーロッパアルプス初の世界自然遺産となったアレッチ氷河を見晴らすユングフラウヨッホなど、見どころ満載のユングフラウ地方を巡る旅行会社の視察旅行(2023年7月実施)に密着してきました。
【※1「人間開発指数(HDI)」とは、健康、教育、生活水準の側面から、その国の本質的な豊かさを示す指標】
移動が便利で快適! 充実した旅ができる
チューリヒからベルン経由でインターラーケン・オスト駅まで、約2時間。眼前に聳える4000m級のユングフラウ三名山(アイガー、メンヒ、ユングフラウ)や美しい湖、窓に色とりどり花を飾った民家、歴史を感じるホテルなど、どこを切り取っても絵になる風景が広がる。
今回は4泊6日でユングフラウ地方の夏のベストシーズンを体験する旅に同行したのだが、予定を見てびっくり!一日に3000m超の2つの山に登る日があるではないの! 正直、「一日で?」と思ったのだが、それこそが視察旅行の醍醐味だった。というのも今回は、ツアープランナーが多く参加しており、どこをどう巡るかなど旅行プランを練るために、効率よく名所を巡る旅になっていたのだ。
「ホテルばかりを何軒も見たり、観光地を一気にいくつも巡ることもあるんですよ」と、旅行会社勤務のAさんが教えてくれたが、ツアー旅が快適なのには、こんな努力があったのだ。
さらなる疑問は、一日でなぜ複数の山に登ることができ、その後にレストランで食事をしたりできるのか。それは、公共交通網がくまなく整備されているからだった。
驚いたのは、ヨーロッパ最高地点の鉄道駅ユングフラウヨッホなど、いくつもの山の頂上、もしくは近くまで、ユングフラウ鉄道をはじめとする登山鉄道やケーブルカーで行けること! この鉄道路線は1896年に着工し、手作業で作業を進め、トンネルも掘り、16年後の1912年にようやく開通したという。それほど前から観光に力を入れていたというわけだ。
2020年には、新たに高速ゴンドラが開通したことで、インターラーケン・オスト駅からユングフラウヨッホまでの片道所要時間がなんと、47分も短縮され、97分で到達できるようになった。
山頂からは電車やゴンドラで降りるもよし、ハイキングを楽しむもよし。もちろん一日ゆったり景色を見たり、湖でのクルーズやお買い物、韓流好きにはドラマのロケ地巡りもできる。そんな“旅行でしたいこと”があれもこれも実現可能。スイスに行くなら、旅行会社のツアーがそろう今がチャンスですよ!
美しいだけじゃない【7つの見どころ】
山岳リゾートの人気スポットが豊富なユングフラウ地方。その中でも押さえておきたいのがここ!
【1】高速ゴンドラに乗って大自然の中を空中散歩
2020年に誕生した高速ゴンドラ「アイガー・エクスプレス」に乗れば、グリンデルワルト・ターミナル駅から標高2320mのアイガーグレッチャー駅までひとっ飛び。
【2】アレッチ氷河の下30mにある氷の宮殿「アイス・パレス」
ヨーロッパ最高地点の鉄道駅、ユングフラウヨッホの人気アトラクション。常にマイナス2℃の室温に保たれた長い通路のあちらこちらには氷像が。
【3】“氷の世界”から一気に真夏の草原へ。全長2.5kmのハイキング
ユングフラウヨッホの帰りはクライネ・シャイデック駅までのハイキングコース「ユングフラウ・アイガーウォーク」で下山。草花に癒され“ハイジ”気分にどっぷり。
【4】美しい街並みをのんびり馬車で観光
トゥーン湖とブリエンツ湖に挟まれた山岳リゾート「インターラーケン(湖の間の意)」は、馬車に乗っての市内観光が人気。値段は2人で30分約1万円(人数、時間、シーズンなどにより異なる)。
【5】アルプスの景色を眺めつつ名物「チーズフォンデュ」を堪能
インターラーケンの町からケーブルカーで約8分。標高1322mの山頂にある展望レストラン「ハーダー・クルム」は予約必須の人気店。名物「チーズフォンデュ」(パンとスイスポテト付き)は約4500円。
【6】韓国ドラマ『愛の不時着』のロケ地めぐりも人気
ヒョンビンの演じた主人公が湖畔でピアノを弾くシーンのロケ地「イゼルトヴァルト」ほか、ユングフラウ地方には撮影場所が点在し、記念のハートのオブジェが立っている。
【7】世界最大3m! “木彫りの牛”が目印
古くからの木彫りの里であるブリエンツ村の複合施設「トラウファーエクスペリエンスワールド」では、牛の絵付け体験(約 2500円)が人気。美術館やホテル、レストランなどがある。
撮影/竹崎恵子 取材協力/スイス政府観光局HP
※女性セブン2024年4月25日号