『弱虫ペダル』『僕のヒーローアカデミア』など、大人気マンガ原作のアニメ作品の主演として知られる山下大輝さん。最新作『怪異と乙女と神隠し』は、「独特な会話の“間”が不思議な魅力を感じさせる作品です」と語る。自身も多くの人を惹きつける不思議な魅力にあふれる山下さんが本誌『女性セブン』初登場の撮り下ろしで見せた柔らかな“ほほえみ”を、山下さんの原点に迫ったインタビューとともにご堪能ください!
アニメ『怪異と乙女と神隠し』は、オカルト好きの緒川菫子(おがわすみれこ)と怪異現象に詳しい化野蓮(あだしのれん)が不思議な事件の解決に挑む怪異ミステリー。
「人間なのかそうでないのかわからない登場人物(?)たちの、噛み合ってるんだかいないんだかわからない不思議な距離感が不思議な雰囲気を生み出している作品です。特に僕が演じる化野と菫子の会話のシーンはとてもゆったりしていて、2人にしか出せない“間”を大事に演じました」
日常シーンでは飄々としている化野蓮が、怪異を解決するシーンでは一変。そのギャップが魅力であり、演じていて苦労したところでもあるそう。
「怪異を説明するシーンは専門用語だらけで大変でしたね。僕自身は初めて発する言葉でも、怪異に詳しい化野はスラスラ言えなくてはいけないし、怪異の説明になると途端に饒舌になるんですよ(笑い)。このシーンは毎回、チャレンジだなと思いながら演じました」
声優の仕事をしていて、時には実際に怪異のような不思議な出来事に遭遇したこともあるそう。
「以前、グランドピアノのあるスタジオで収録していたら、そのピアノの下から何かが覗いているような雰囲気を感じたことがあります。しかもその瞬間、ノイズでアフレコが止まったんですよ。いまはもうないスタジオですが、なぜピアノがあったんでしょうか……」
●山下大輝ってどんな人? 「原点」に迫るQ&A
Q. 声優になろうと思ったきっかけは?
A.『アラジン』のジーニーに憧れて。小学生の頃はディズニーアニメに夢中で、『アラジン』の魔人・ジーニーの声に感動していました。女性のような声から子供の声、おじいさんの声と、ジーニーからいろんな声が出てくるのが魔法のようだと思って。真似をしては母に「似てる?」と聞いてました。僕の声真似に笑ってくれる母を見て、自分の声には人を笑顔にする力があるのかもと思って、声優を志しました。
Q.仕事で大事にしていることは?
A.人との出会いを大切にすること。声優の仕事は自分の声を知ってもらうことからはじまります。僕の声を聞いた人が、“こういうキャラクターが合うかも”とオーディションに誘ってくれたり、逆に僕のイメージとは正反対の役を提案していただいたり。自分の声を知ってもらって、そこからつながることも多いんです。人と人とのつながりを大事にすることは、一番大切にしています。
Q.声優の仕事の魅力はなんですか?
A.いろんな人生を味わえること。キャラクターとしてさまざまな目線で物事を見ることができるのが楽しいです。旅をするキャラクターを演じたら僕も一緒に旅をできますし、現実世界ではできない魔法を使うことだってできます。キャラクターの人生を追体験しているような気持ちになれるので、何人分もの人生を味わえてすごくオトク(笑い)。まさに“特盛”の人生を歩んでいます。
Q.声優としてやりがいを感じるのは?
A.言葉ではないやりとりができた時。僕たち声優はキャラクターの声の部分の担い手です。でもそれはキャラクターにとって一部分に過ぎません。線画に色がつき、音が入り、キャラクターを動かす人がいて……。みんなでいいものを持ち寄っておいしいものを作る、みたいな感覚なんです。作品を通して想いが通じ合ってると感じられたときは幸せですし、これだからこの仕事はやめられないですね。
撮影/gaku 取材・文/尹秀姫
※女性セブン2024年4月25日号