司会の木下が「あ、寄付。ポケットに入れました、今」と声を上げると、中条氏は「ありがとうございます」と笑わせたのである。
この日の「中条きよしと共に歩むカラオケ大会」は4時間ほどでお開きとなった。芸能人のトークや歌、国会議員の“コスプレショー”まで楽しめ、カラオケが歌えて会費1万円とあって、参加者は「楽しめたから十分会費のもとは取れた」と満足げな様子だった。
中条氏とともにカラオケ大会の審査員を務めた後援会「中条きよしと共に歩む会」の会長は、「ここにいる皆さんのお力を借りて、これからも中条きよし先生を一生懸命、皆さんと一緒に応援していきたいと思います」と挨拶していたが、いったい、このカラオケ大会は中条氏の政治資金パーティーか、あるいは後援会イベントだったのだろうか。自民党の裏金問題を告発した上脇博之・神戸学院大学教授はこう指摘する。
「このカラオケ大会が政治活動なのか、営業活動なのかでお金の性格と処理の仕方が違ってきます。政治団体による政治活動であれば、おひねりは政治活動に関する寄附になり、公職の候補者は個人で政治活動に関する寄附を受けることが規正法で禁止されていますので、政治団体や政党支部への寄附として政治資金収支報告書に記載しなければならない。
ただし、政治資金収支報告書には寄附を受けた者の住所氏名を記載しなければならないことから、寄附した人が特定できるのかという疑問があります。
政治活動でないのであれば、この参加者からのおひねりを最終的に中条氏が受け取っていれば、個人所得として来年確定申告しなければなりません。いずれにしても、参加者におひねりを要求するような行為は国会議員としてどうなのでしょうか」
カラオケ大会の主催は芸能プロダクションのA社で、カラオケメーカーが協賛している。
中条氏は参院議員に当選後の2022年、国会での質疑中に自身の新曲をPRしたことを批判され、同年12月での「芸能活動引退」を表明したはずだが、このイベントが興業だったとすれば、芸能活動を再開したことになるのではないか。しかも、中条氏と司会の木下は今後、このカラオケ大会を福岡、北海道、静岡など全国で開催し、決勝戦を行なうと語っていた。