ビジネス

著名人の画像映像を勝手に使う偽広告 人生相談に乗る「アシスタント」が出現するケースも

自民党の合同勉強会に出席した実業家の前沢友作氏(右から2人目)と堀江貴文氏(同3人目)。SNS上に掲載される詐欺広告に写真や名前を無断利用されていると訴えた(時事通信フォト)

自民党の合同勉強会に出席した実業家の前沢友作氏(右から2人目)と堀江貴文氏(同3人目)。SNS上に掲載される詐欺広告に写真や名前を無断利用されていると訴えた(時事通信フォト)

 SNS、なかでも米・メタ社の運営するフェイスブックやインスタグラムで多くあらわれる偽広告の勢いが止まらない。なかには著名人やニュース番組をディープフェイクによって作成し、ぼんやり見ていたら本物だと勘違いしそうなものもある。ライターの宮添優氏が実際に偽広告をクリックし、促されるままに”投資グループ”へ参加して起きたことについてレポートする。

 * * *
 4月10日、実業家の前澤友作氏ら複数の著名人たちが、SNS上に無数に存在する、自身らの写真や映像を悪用した広告の存在について、自由民主党本部で開催された勉強会で訴えた。大手紙社会部デスクが説明する。

「前澤氏や、同じく実業家の堀江貴文氏らの映像を使ったSNS上の偽広告は、この数年、特にフェイスブックとインスタグラム上において、頻繁に表示されるようになりました。ほとんどが株や暗号資産への投資を募るものですが、この偽広告を入り口にした詐欺被害が拡大しています。当初は、こんなものに誰が引っ掛かるのかというほど粗い作りの広告でしたが、日を追うごとに手口が巧妙化し、ディープフェイクを使ったものまである。数十万円から数百万円を失ったり、中には数千万円を騙し取られ、自宅の売却を余儀なくされた被害者もいて、その数は増えています」(大手紙社会部デスク)

 名指しされたSNSはいずれも、米国・メタ社が運営するサービスだ。当然、被害を訴える著名人らは再三にわたり、対策を取るようメタ社側に求めているというが、減るどころか様々なパターン、バリエーションが次々と登場し、客観的に見ても、同社が本腰を入れて対策に乗り出している様子は見られない。

フェイスブックの偽広告をクリックしたら

 まず、前提として抑えておきたいのは、無断で有名人の写真や動画を使った広告、そしてその広告を通じて促さされる投資や消費行動は、ほぼ100%詐欺であるということだ。入り口が偽物で出口が本物、ということはあり得ない、という認識を持った上で筆者は、フェイスブックやインスタグラムに表示される著名人の写真などを悪用した偽広告をいくつかクリックした。そして、その先にどういうことが起きるのか、そして、偽広告の主や、嘘の投資話を仕掛けてくる連中の素性を探った。すると、見えてきたのは、極めて体系的に組み上げられた詐欺のシステムと、中国の影だ。

 まず、偽広告をクリックするとほぼ100%の確率で誘導されるのが「LINE」だ。例えば、前澤氏の写真に「今すぐ投資を」などの文言が書かれたSNS上の広告をクリックすると、こちらも高い確率で「ランディングページ」と呼ばれる、別のサイトに移動させられる。そこには投資で成功する方法や、仮想通貨などの暗号資産、未公開株に関する情報など、とにかく「金儲けができる」といったニュアンスの文言が並んでいて「LINE」で繋がれば、その具体的な情報が得られると誘っていた。ランディングページ自体は、一般的な通信販売、情報商材販売などにおいても頻繁に利用されるが、詐欺にも多用されることは覚えておきたい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
今回の地震で道路の陥没に巻き込まれた軽自動車(青森県東北町。写真/共同通信社)
【青森県東方沖でM7.5の地震】運用開始以来初の“後発地震注意情報”発表「1週間以内にM7を超える地震の発生確率」が平常時0.1%から1%に 冬の大地震に備えるためにすべきこと 
女性セブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン