香港ではここ数年の民主化運動の取り締まり強化などに抗議して、辞職する政府職員が増加。2022会計年度(2022年4月~2023年3月)の1年間では、1万人以上の公務員が辞職していたことが明らかになった。これは2018年度の辞職者数8500人を上回り、歴代1位の記録となった。香港各紙が伝えた。
香港の公務員は一般的に仕事の内容もそれほど大変ではなく、給与や福利厚生面、休暇の日数などでも民間企業に比べて優遇されており、かつて就職人気ナンバー1になったこともあった。
ところが、ここ数年の政府による厳しい民主化弾圧や中国政府への追従強化などで、人気が下落。途中退職者が急増しており、経験豊かな中堅職員不足が大きな問題になっているという。
2022年度の辞職者は1万人を超えたが、辞職の理由としては「海外への移住」が最も多かった。香港に住んでいる限り、中国政府に忠誠を誓わなければならず、万が一、ソーシャルメディアなどで香港政府や中国政府の対応を批判したことが発覚すれば、上司から厳しく注意を受けることもある。そうした状況に嫌気がさしたことを理由に挙げる者も多かったという。
特に辞職者が多いのが警察部門だ。2万7000人の警察官の19%が辞職しており、慢性的な定員割れ状態に陥っている。このため、香港政府指導部は今後、大きなデモや騒乱事件などが起きた場合の対応に危機感を強めているという。
また、香港政府が運営するマスメディア「香港電台(ラジオテレビジョン)」も1000人の定員に対して、240人が辞職したままとなっている。
香港政府は毎年秋に公務員採用試験を実施しているが、ここ数年の間に大学や高校を卒業した若者は反政府デモの主力となっており、政府職員を毛嫌いしていることから、新卒採用が難しく若手職員不足も深刻だという。