中国で海外のスパイ摘発などを担当する中国国家安全省が、中国全土の主要都市で不審な人物やグループなどをチェックし上部機関に報告する監視員制度を敷いていることが明らかになった。
同省は4月15日の「国家安全教育日」に合わせて、「スパイ事件トップ10」などを発表。報道特別番組で外国のスパイ活動や情報収集の摘発事例を紹介し、これらの事件を密告した告発者86人を表彰しており、今後もスパイ摘発が強化されるとみられる。香港紙「明報」が報じた。
この密告奨励政策は、習近平国家主席が国家安全を重視する姿勢を示してから10年の節目を迎えたことから、中国全土の主要都市で推し進められているものだ。
15日にはテレビで特別番組が放送され、省政府幹部らが海外のスパイとなった事件について、その実名などが写真付き報じられた。
また、これらの事件での密告者を「監視員」呼び、中国全土の主要都市に不審な人物やグループなどをチェックし上部機関に報告する活動を奨励している。
昨年7月にはスパイ行為の定義を拡大した改正反スパイ法が施行されたが、こうした監視員の人選も8月に開始され、山東省の省都、済南市ではホームページで1880人の監視員を公募したと報告されている。他の都市でも同様のことが行われており、全国の監視員は100万人を超えるとみられる。
中国ではここ数年、習氏による国家安全保障重視の姿勢が強調されたことによって、日本人を含む「外国人スパイ」も多数拘束されており、こうした動きがどこまで拡がるのか、中国内の海外企業や各国も注視している状況だ。