1986年10月5日、日曜21時──いままでの刑事ドラマとは一味違ったその作品は放送されるやいなや、瞬く間に話題になった。ダンディーな「タカ」(舘ひろし・74才)とセクシーな「ユージ」(柴田恭兵・72才)の刑事コンビが大反響を呼び、放送は当初予定されていた2クールから倍の4クールに延長。その後も映画やスペシャルドラマが作られるたびに話題を集め、『あぶ刑事』は伝説的な存在となった。
初回放送から38年、劇場版『帰ってきた あぶない刑事』が5月24日に公開される。
「前作の映画『さらば あぶない刑事』(2016年)で『これが最後』と繰り返していたが、彼らはやっぱり帰ってきてくれました。前作では2人は定年退職し、ニュージーランドへ。今回は横浜に戻ってきて探偵事務所を始めるところから物語が始まります。しかし、“続編はない”と思っていた柴田さんや舘さんらは、最初から続編の制作に二つ返事だったわけではなかった」(制作会社関係者)
キャストたちがすぐに首を縦に振らなかったのには、大きな理由があった。
「『あぶ刑事』を手がけてきた制作プロダクション『セントラル・アーツ』の主要スタッフが、この8年の間に次々に亡くなってしまったからです。
例えばタカ&ユージの配役を決めたプロデューサーで元社長の黒澤満さん(享年85)は2018年に他界。舘さんは葬儀で溢れる涙を隠しきれませんでした。さらに2020年に亡くなった撮影監督の仙元誠三さん(享年81)は、日本で最もアクションに精通したカメラマンと称され、なくてはならない存在でした」(前出・制作会社関係者)
タカとユージを支えてきた主要キャストの木の実ナナ(77才)も、今回の配役から名前が消えた。
「昨年6月、自宅で転倒して、車椅子生活を余儀なくされているそうです。いまは自力で歩けるまでに回復していますが、ひとりでの生活が難しく、仕事復帰のめどは立たない状態です」(木の実の知人)
もはや幕引きかと思われた『あぶ刑事』。悲劇からの再出発となったのは、若いスタッフの熱意だったという。
「今作の監督の原廣利さんは、テレビシリーズの監督を務めた原隆仁さん(72才)の息子さん。ほかのスタッフも若手中心で、『(これまでの作品を)幼稚園のときに見てました』なんていう人もいたそうです。彼らの新しい『あぶ刑事』をつくりたいというパワーは大きく、今作はこれまでとは違った魅力があるそうで、その出来に柴田さんも舘さんも大満足だとか」(前出・制作会社関係者)
最強バディが再び大暴れする!
※女性セブン2024年5月9・16日号