ライフ

注目される「ミトコンドリア」と若返り研究、肌老化の鍵を握る「マイトリガーゼ」、大正製薬の研究が明らかに

肌の若返りのためにはどうすれば?(写真/イメージマート)

肌の若返りのためにはどうすれば?(写真/イメージマート)

 若返りの研究が進化して、老化を防ぐ手段が増えてくる可能性がありそうだ。

 大正製薬が2024年4月に、若返りの鍵とされるミトコンドリアに存在している「マイトリガーゼ」の減少が肌の老化に関連することを報告している。

老化とミトコンドリアの関係

 ヒフコNEWSでは若返りについての研究について何度も記事にしている。英語では「REJUVENATION」と呼ぶが、本当に若返りが実現するのかという意味では、成果となる研究はいくつも出ている。まだ動物実験の段階ではあるが、アミノ酸の一種であるタウリンによってマウスの寿命が延びたことが報告されている。また、「NMN(βニコチンアミドモノヌクレオチド)」と呼ばれる、細胞のエネルギー効率を高めるサプリメントが販売されているが、これも細胞の若返りにつながると考えられている。

 このような若返りの研究で注目されている事柄の一つとして、細胞の中にあるミトコンドリアの働きがある。ミトコンドリアは、細胞が酸素を取り入れてこれを使ってエネルギーを生み出す役割を果たしている。ミトコンドリアの働きを高めることで若返り効果につながると考えられている。NMNもこの効果を引き出す栄養素として理解されている。

 大正製薬でもミトコンドリアの機能に注目しており、ミトコンドリアに存在している酵素の一つである「マイトリガーゼ」と、肌老化との関係についての研究を進めている。

 今回、年齢の異なる女性の肌組織からマイトリガーゼの減少を確認することができた。このマイトリガーゼの減少が、コラーゲンの減少、老化に関連するさまざまな検査で測定されるマーカーの増加、細胞の動きの鈍化に直接関連していることまで確認された。肌の修復力低下にもつながっていたということで、マイトリガーゼの機能が低下することで肌低下につながる可能性が示されたことになり、逆にマイトリガーゼを活性化すると肌の若返りにつながる可能性もあるという。

肌の弾力性や構造を保てなくなる

 大正製薬では、ミトコンドリアの機能が低下することと、老化は密接に関連し、マイトリガーゼの減少はエネルギー生成の低下に寄与しているという。マイトリガーゼが減少すると、コラーゲンの分解が進み、肌の弾力性や構造を保てなくなるという。

 今回の研究もそうだが、肌の老化は細胞の変化によって起こってくると次々示される。どのようにスピードを抑えられるのか研究の進歩はこれからも注目される。

参考文献

若返りの鍵「マイトリガーゼ」と肌老化の関係を多角的に解明

「エイジズム」を乗り越える見た目の若返り、ポジティブな体験を増やす、米国研究の発見

「メディカルスパ」のトレンド、若返り治療+リラクゼーション、海外で拡大

若返りの新たな道、硫化水素でミトコンドリア機能向上、海外研究がその可能性を発表

肌の若返りが進化、最先端のレーザーと高周波による治療とは、第111回日本美容外科学会(JSAS)

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
運転中の広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
《広末涼子の男性同乗者》事故を起こしたジープは“自称マネージャー”のクルマだった「独立直後から彼女を支える関係」
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(写真は2023年12月)と事故現場
《広末涼子が逮捕》「グシャグシャの黒いジープが…」トラック追突事故の目撃者が証言した「緊迫の事故現場」、事故直後の不審な動き“立ったり座ったりはみ出しそうになったり”
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
【広末涼子容疑者が追突事故】「フワーッと交差点に入る」関係者が語った“危なっかしい運転”《15年前にも「追突」の事故歴》
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
「全車線に破片が…」広末涼子逮捕の裏で起きていた新東名の異様な光景「3kmが40分の大渋滞」【パニック状態で傷害の現行犯】
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン