中国内蒙古自治区政府の法律顧問だった杜文氏が、犯罪にかかわったとして身柄を拘束された際に没収された「孫文壹圓銀貨」101枚について、習近平国家主席に対して公開書簡で返還を求めていることが分かった。銀貨は保存状態が良く、日本円で1枚、数百万円で取引されているものもあるという。
杜氏は、同自治区の元法律顧問だった2010年、汚職に関与したとして逮捕された。杜氏は「政治的に仕組まれた冤罪だ」として無罪を主張したが、裁判で懲役14年の刑を受けた。
刑期を終え釈放された後、妻の王維華氏とともに東京に飛び、駐日ベルギー大使館で滞在ビザを取得し、現在はベルギーに住んでいる。
杜氏と妻がいまだに無念に思っているのは、王氏の父から譲り受けていた中華民国22年(1933年)発行の「孫文壹圓銀貨」101枚が逮捕時に没収されたことだという。
この孫文銀貨は重さ約26.67g、直径が約38mm、銀の含有量が約88%で非常に歴史的価値がある中国古銭とされる。
杜氏はXやTikTokなどで、習近平国家主席宛ての公開書簡を掲載し「私たちは中国当局に迫害され、いまはベルギーに亡命せざるを得ない状況に追い込まれました」などとして、自身の名誉回復と銀貨の返還などを求めている。
習氏は5月5日から10日まで、フランス、セルビア、ハンガリーの欧州3カ国を訪問しているが、杜氏夫妻は習氏の欧州歴訪に合わせて、Xなどでさらに自身の要求を訴え続けるという。