東京・有明コロシアムで開催されたテニスの国・地域別対抗戦(4月12、13日)に出場した大坂なおみ(26)。日本代表としては2021年の東京五輪以来のプレーで、予選後の会見ではパリ五輪への出場意思を明言。「五輪はスポーツの祭典。出場できたらメダルを取りたい」と力を込めた。
「昨年7月に長女を出産し、今年1月まで産休でブランクがあったにもかかわらず、時速200kmに迫るサーブを連発したのはさすがの一言。パリ五輪の出場資格は『2020年8月以降の国別対抗戦で2試合のメンバー入り』が条件ですが、大坂選手は出産があったので、この条件が免除される見通しです」(スポーツ紙記者)
そんな大坂はいま、全米で幼子を持つ親の希望になっているという。在米ジャーナリストが言う。
「米国における有給育児休暇制度の導入を訴える活動をしています。米国は国としての育休制度を持たず、女性にとって出産はキャリアを諦める大きな要因になってきた。大坂さんは大手粉ミルク会社の広告キャンペーンの顔として、連邦政府による有給育休の導入を求めてSNSなどで発信しつつ、一時的な援助として50の家庭に助成金を支給しました。彼女の活動の影響は大きく、米国メディアも好意的に取り上げています」
大坂は現地メディアで、「産休を経て競技に復帰できた自分は恵まれている」として、こんなメッセージを送った。
「米国で働く多くのお母さんたちは、そんな自由な選択肢を持てません。本来はその選択肢を持つ権利があるべきです。だから育児休業などの課題について声を上げ、ママたちをサポートしたい意欲が湧いてきたんです」
大坂のこうした活動について、彼女のインスタグラムには〈声をあげて、この問題に光を当ててくれてありがとう〉と応援コメントが多数集まっている。全米の母たちにとって、大坂はすでに金メダル級の社会活動をしているようだ。
※週刊ポスト2024年5月17・24日号