国家の裏側やタブーに切り込んだ社会派政治ドラマ『フクロウと呼ばれた男』が、ディズニープラス「スター」オリジナルドラマシリーズで独占配信中。主人公を演じるのは、俳優、ダンサー・舞踊家として世界的に活躍する田中泯(79才)。彼はどのような思いで役を引き受けたのか──。
「“世間がジャッジした悪”が“本当の悪”かどうかはわかりません」と語る田中は、本作で“道筋を正す”ために暗躍する国家の黒幕に挑戦した。
鋭い視線でビル群を見下ろしたかと思えば、「高いところは怖いね」と柔らかな笑顔。日本の裏側を知り尽くしたフィクサー・大神龍太郎を演じた田中は、自身も千変万化の顔を持つ。その中には“悪”の顔も潜んでいるのだろうか。
「脚本に目を通したときに“閉じた悪”いわゆる純粋な悪の人だと感じたら、出演を辞退するつもりでした。自分がこれまで生きてきた70年余りの中で、もしあのとき別の選択をしていたらひょっとすると自分も大神と同じ道を歩いていたかもしれない。そう思えたから、たとえ悪であっても“閉じた悪”ではないと感じました」
裏の世界に生きる父に反発し、表の世界で「正義」を掲げて衝突する息子・龍を演じたのは新田真剣佑。
「撮影を終えたときには、まぎれもなく息子でしたね。彼は孤独を知っているけれど、それだけじゃない。孤独に向き合うと、深いけれども同時に狭い場所にもぐりこんでしまうこともあります。でも彼は深くて幅がある。向き合うとワクワクしました」と、笑顔をのぞかせた。
傘寿を迎えるとは思えないほどのエネルギーを放つ田中。舞踊にとどまらず、本作でも世界で圧倒的な存在感を示し、話題になること必至だ。
撮影/前田拓也(TRON) ヘアメイク/横山雷志郎(Yolken) スタイリスト/九(Yolken)
※女性セブン2024年5月23日号