大相撲5月場所は波乱の幕開けとなった。初日から横綱と4大関が全敗という昭和以降で初の事態に。関脇2人も敗れ、三役以上で白星をあげたのは横綱・照ノ富士に勝った新小結・大の里ただ一人と、上位陣が総崩れとなった。大荒れの土俵に騒然となった両国国技館だが、熱戦の続く取組に声援を送る側にも、注目が集まっている。
満員御礼の垂れ幕が下がった国技館の館内は番狂わせが続いて大いに沸いた。ただ、「チケットは千秋楽まで完売」(茶屋関係者)とのことで、生観戦するハードルは高そうだ。茶屋関係者はこう続ける。
「特に入手困難なのが、NHK大相撲中継で映り込む向正面の溜席(たまりせき)。通称“砂かぶり”と呼ばれる座布団1枚の広さの席ですが、土俵の四方に6段482席ある。そのうち300席は相撲協会に金銭面での援助をする維持員の席で、残りの大部分は古くから15日間の通し券を購入している人の既得権となっている。一般販売もされるがごく限られた席数しかないため、とにかく入手は困難ですね」
好角家で知られる喜劇役者の大村崑氏(92)も「いろんなツテを頼ってお願いしていますが、溜席のチケットはなかなか取れない。なんとか譲ってもらえることになったのが半年後の九州場所です。待ち遠しいですね」と話すような状態だ。
大変な盛り上がりの相撲人気だが、最近は向正面の溜席に座る観戦者の“マナー”が問題になっているという。足を投げ出したり、携帯電話で写真や動画を撮っている姿がNHK大相撲中継で映り込んでいることが少なくない。
「溜席に座っている維持員は、本場所での力士の技能審査をする立会人という立場。そのため観戦にはいくつもの暗黙のルールがあります。一般の人も溜席に座る場合、観戦マナーは維持員に準じるものと考えられています」(前出・茶屋関係者)