2022年の初演時に、演劇界に大きなインパクトを残した舞台『千と千尋の神隠し』(福岡・博多座で5月19日まで公演中)。原作はスタジオジブリの宮崎駿監督の名作で、その独特の世界観やカオナシ、湯婆婆、釜爺など多彩なキャラクターたちを舞台化するには難易度が高いと思われる中、見事なまでに映画の世界を具現化してみせた。その話題作で、主要キャストのハク役をオーディションで勝ち取ったGENICの増子敦貴。GENICのメンバーとしてアーティスト活動を精力的に行いながら、役者としても飛躍するいまの思いとは──!?(全5回の第4回)
──では今回も、『女性セブン』公式Xでみなさんからいただいた質問の続きです。千尋役は橋本環奈さん、上白石萌音さん、川栄李奈さん、福地桃子さんの4名が演じられていますが、千尋役に関する質問もたくさん来ていました。「今回、千尋役のキャストさんが4名いらっしゃいますが、相手のキャストさんによって意識的にお芝居を変えている部分はありますか?」。
意識的に変えていることはないんですけど、この前カンパニーのみんなと話していて確かに!と思ったことがあるんです。もし千尋役を(カラーで)分けるとしたら、環奈ちゃん&李奈さんと、萌音ちゃん&桃ちゃんだよね……という話になって、確かにそうかもしれないな……と。
──その違いを言葉にするのは難しいかもしれませんが、しいて言うならどんな違いがありますか?
ご本人たちの性質が役にも反映されているのかな……と思うんですけど、環奈ちゃん&李奈さんの千尋は火のような強さがあって、萌音ちゃん&桃ちゃんの千尋は水のような繊細さがあるなって感じます。
──なるほど。ちなみに、ちょっと難易度高めかもしれませんが「ハク役を4人の千尋役の皆さんと演じられましたが、ハクとして感じる気持ちを色として表現するとしたなら何色ですか?」という質問も来ています。
環奈ちゃんは壮大な空の色。萌音ちゃんは森の色。李奈さんは純白。桃ちゃんはピンク……ですね!
──ちなみにいまの質問の続きに、「いちばん好きなシーンは、お相手ごとに変わるものでしょうか?」とありましたが、いかがですか?
変わりますね。たとえば、環奈ちゃんのときは、冒頭の「怖がるな」とハクが言うあたりの一連のシーンがすごく入り込みやすいんです。萌音ちゃんのときはおにぎりを渡すシーンが好きです。李奈さんはいっしょに空を飛びながら、ハクが本当の名前を思い出すシーン。桃ちゃんは、最後のお別れのシーンがぐっとくるな……と思います。
──お話を伺っていると、やはり同じ千尋役でも演じている方によって異なる魅力が引き出されていることが伝わってきます。今回、ほかの役も複数のキャストが演じられているので、組み合わせによって異なる化学反応が起きるのも見どころですよね。キャストの皆さんに関する質問も来ています。「あっちゃんは人見知りだから、今回の舞台で誰かと仲良くなれましたか?何か面白いエピソードがあれば聞かせて欲しいです!」。
いちばん仲良くなったのは、コタくん(醍醐虎汰朗)ですね。稽古中は基本、ずっといっしょにいました! あと、リン役のお三方とは稽古場の席がずっと隣だったので、特に仲良くなりました。3人ともパワフルなんですよね。面白いエピソードといえば、通し稽古の直前に待ち時間があって、(妃海)風さんが「ゲームしよう!」っておっしゃって、“あっち向いてホイ”とか懐かしい遊びをやりました。でも、あとから考えると、稽古場に2階席があって、そのいちばん先端のほうにぼくたちの席があったんですね。