5月14日、小泉純一郎・元首相、山崎拓・元幹事長、武部勤・元幹事長、亀井静香・元政調会長の会合の席に、世論調査でポスト岸田の一番手に名前があがる石破茂・元幹事長が招かれ、「自民党重鎮たちの画策」に、永田町はにわかに色めき立った。
石破氏は小泉内閣時代の2002年に防衛庁長官として初入閣し、国防族としてキャリアを重ねるきっかけとなった。それだけに、会合の面々は仰ぎ見る存在であり、この日、石破氏は報道陣が囲むなか、緊張の面持ちで会場の銀座の日本料理店に入った。話題は予想通り、石破氏に決起を促すものだったとみられている。小泉氏に近い議員が言う。
「4人は4月の衆院3補選で自民党が全敗すれば岸田政権は終わりと見ていたが、全敗したのに党内で岸田おろしの動きが起きない。その体たらくに“自民党はいつから権力闘争もできなくなったのか”と憤慨したメンバーが、石破を呼んで発破をかけることにした」
山崎氏も会合後、「石破氏が総裁選に立つべし」との意見が出たことを明らかにした。もっとも、石破氏は世論調査の人気は高いとはいえ、党内に支持が広がっているとは言えない。今年2月から石破グループの勉強会を再開、旧石破派の議員の他に、安倍派や二階派からの参加者もいるが、それでも15人程度だ。総裁選出馬に推薦人として必要な20人にも満たない。
そこに小泉氏をはじめ重鎮たちという強力な援軍が現われたのだ。緊張して会合に出たのも無理はない。一方、岸田首相サイドはこの動きに神経を尖らせている。岸田側近はこう話す。
「石破は総裁選の脅威にはならないと考えていたが、注目度が高い小泉元総理たちが担ぎ出せば、党内の若手が浮き足立って石破につく可能性も出てきた」