年齢を重ね、いつの間にか蓄積されてしまった肌のくすみ。くすみ感があると、なんとなく冴えない印象になるだけでなく、老けて見える原因に。そんなくすみをなかったことにする方法を、専門家に取材した。
【教えてくれたのは…】
小西さやかさん/日本化粧品検定協会代表理事。コスメコンシェルジュ。化粧品開発者として科学的視点から美容、コスメを評価できる専門家。時短美容家としても活躍。
小林道子さん/すがも小林皮フ科院長。医学博士。皮膚科専門医。肌が弱くアレルギー体質だった自身の経験を生かした丁寧な診療・治療が好評。予防医学にも力を入れている。
大人の肌がくすむ原因
【1】糖化・カルボニル化
「糖化とは、体内で余分な糖とたんぱく質が結合すること。カルボニル化とは、コラーゲンやエラスチンが酸化した脂質の代謝物と結びつくこと。糖化もカルボニル化も肌をくすませる原因です」(小西さん)
【2】過剰なメラニン
「紫外線や外的刺激で活性酸素が発生すると、メラニンの合成が促進され、肌の新陳代謝が乱れます。メラニンの排出が滞って沈着し、肌が薄い褐色になり、くすんで見えるようになります」(小林さん)
【3】余分な角質
「加齢や疲れ、ストレス、睡眠不足が原因で肌の新陳代謝が遅くなると、角質が厚くなります。メラニンが蓄積するため肌の透明感が失われ、ゴワゴワしたくすみ肌になります」(小林さん)
【4】血行不良
「疲れや運動不足、冷え性などによって血行不良になると、肌に充分な栄養が届かず、毛細血管が青く目立つように。顔色が悪く、どんよりと見えてしまいます」(小林さん)
肌の明るさを取り戻すメソッド
●ベジファーストで血糖値の上昇を緩やかにする
ご飯やパスタなどの炭水化物やスイーツの食べすぎは、糖化の原因に。「糖質の摂りすぎに注意。さらに、食事は野菜や海草類→たんぱく質→炭水化物の順番で食べましょう。野菜から食べることで、血糖値の上昇が緩やかになります」(小林さん)。
●美肌食材や体を温める食材を食べる
肌のくすみは食生活の影響も大。「肌がくすんでいる人はビタミンCやEが不足している可能性があるので、緑黄色野菜を積極的に取り入れて。冷え性の人は、体を温める食材を食べることで、血行不良の改善に役立ちます」(小林さん)。
【体を温める食材】
体を温める食材は冬が旬、寒い土地で採れるものが多い。代表的なものは玉ねぎ、しょうが、にら、ねぎ、鮭、鯖。納豆、キムチなどの発酵食品も。
【美肌食材】
緑黄色野菜には糖化を抑制する働きが。ビタミンB群豊富な鶏肉も美肌食材。ビタミンEを多く含むナッツ類は血行促進に効果的。
●食事の後は家事や散歩で糖分を消費する
糖化は代謝しきれない糖がたんぱく質と結びつくことで起こるので、適度な運動が大切。「糖分は食後1時間以内に代謝されないと体内に蓄積されます。食後はゴロゴロせずに、積極的に家事や散歩をして糖を消費しましょう」(小林さん)。
●抗酸化成分配合のコスメでカルボニル化を防ぐ
「体内でカルボニル化が起こると、肌のコラーゲンやエラスチンそのものが黄色く変性します。対抗するためには、抗酸化成分配合のコスメを取り入れましょう」(小西さん)
●糖化ケアに有効な成分配合のコスメを使う
「ウメ果実エキスやセイヨウオオバコ種子エキスなどが、糖化に効く成分として有名です。さらに、メーカー独自の糖化ケア成分も」(小西さん)
●ビタミンCやトラネキサム酸でメラニンケア
「黄褐色のメラニンを肌の色にする代表的な成分は、ビタミンC。炎症を抑えてメラニン生成を抑える成分は、トラネキサム酸など。メラニンによるくすみ解消には、これらを配合したコスメを選んで」(小西さん)
●SPF50・PA++++の日焼け止めでしっかりカバー
「多くの人は日焼け止めを必要量の半分程しか塗っていないため、表示のSPF・PAの3分の1程度の効果しか発揮されていないといわれています。できるだけ日焼け止め効果を高めるためには、SPF50・PA++++を選んで。すっぴんで、日焼け止めだけで過ごす日は、2度塗りがマスト」(小西さん)
●スキンケアの際は擦らず、保湿はしっかりと
スキンケア時の刺激や乾燥もくすみを加速させる要因。「化粧水や乳液を塗る際は両手のひらでやさしく押し込むようにして、しっかり保湿しましょう」(小林さん)。
●フォトフェイシャルなどクリニックでのケアにもトライ
「くすみケアには、高濃度美容成分を肌の奥まで浸透させる『エレクトロポレーション』や、複数の波長からなる光でケアする『フォトフェイシャル』が効果的。併用すると相乗効果が得られるのでおすすめです」(小林さん)
撮影/平林直己 取材・文/青山貴子
※女性セブン2024年5月30日号