熱血漢やまじめな堅物、イケメンエリートというイメージからはかけ離れ、人気の弁護士ドラマの魅力は強烈な個性にあった。ドラマウオッチャーたちが語る歴代最高の作品とは──。
放送開始から1か月がたっても勢いが止まらないNHK連続テレビ小説『虎に翼』。伊藤沙莉(30才)演じるヒロインが司法試験に合格し、祝賀会を開いた5月10日放送回の平均世帯視聴率は16.9%で、4度目の最高タイ記録を迎えた。日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんをモデルに、男ばかりの法曹界で活躍した力強い女性像が描かれる。
今クールのドラマのなかで、同作と双璧を成す作品が長谷川博己(47才)が殺人犯をも無罪にしてしまう“危険な弁護士”を演じる『アンチヒーロー』(TBS系)だ。両作の魅力をコラムニストの吉田潮さんは、こう力説する。
「『虎に翼』は弁護士になる前の寅子の艱難辛苦を丁寧に描いているゆえに感情移入しながら寅子を応援し、見守る楽しさがある。弁護士になった後の展開も期待できますし、法律の解説もテンポがよく、登場人物の性格もはっきりしていて、非常にわかりやすい。反対に『アンチヒーロー』はタイトルのように、ギリギリ法律に触れないところを攻める弁護士・明墨のミステリアスさや黒を白にする逆転劇が魅力です」
正反対の両作が今期のドラマを牽引する人気を集める理由は、“弁護士ドラマ”が持つ引力にある。コラムニストの木村隆志さんが言う。
「法廷シーンが必須の弁護士ドラマは必ず敵と味方がいるから、勧善懲悪モノとして悩まずにドラマの世界に入り込め、最後はスカッとした気分で見終わる。テーマもいろいろ描けてストーリーに幅を持たせることができ、おもしろいドラマが生まれやすい。医療、刑事ドラマも定番ですが、生死をめぐった内容は仕事や家事で疲れてホッと一息つきたい夜にはハードルが高い。弁護士ドラマに名作が多いのは、そうした理由からだと考えられます」
では、ベスト・オブ・弁護士ドラマはどの作品か。識者らに投票してもらった。ランキングは以下の通りだ。
【選出方法/今井舞さん(コラムニスト)、木村隆志さん(コラムニスト)、ペリー荻野さん(コラムニスト・時代劇研究家)、吉田潮さん(コラムニスト)、恭子さん(51才・主婦)、莉子さん(42才・会社員)の4名に平成以降に放送された「おもしろい弁護士ドラマ」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計、回答を掲載した】
1位『リーガル・ハイ』(フジテレビ系、2012年、主演・堺雅人) 27点
2位『99.9 刑事専門弁護士』(TBS系、2016年、主演・松本潤) 9点
3位『離婚弁護士』(フジテレビ系、2004年、主演・天海祐希) 8点
4位『SUITS/スーツ』(フジテレビ系、2018年、主演・織田裕二) 7点
5位『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系、2019年、主演・坂口健太郎) 6点
6位『弁護士のくず』(TBS系、2006年、主演・豊川悦司) 5点
6位『石子と羽男—そんなコトで訴えます?—』(TBS系、2022年、主演・中村倫也、有村架純) 5点
6位『マチベン』(NHK、2006年、主演・江角マキコ) 5点
9位『グッドパートナー 無敵の弁護士』(テレビ朝日系、2016年、主演・竹野内豊) 4点
10位『ひまわり』(NHK、1996年、主演・松嶋菜々子) 3点
10位『グッドワイフ』(TBS系、2019年、主演・常盤貴子) 3点
12位『元彼の遺言状』(フジテレビ系、2022年、主演・綾瀬はるか) 2点
12位『慰謝料弁護士〜あなたの涙、お金に変えましょう〜』(読売テレビ・日本テレビ系、2014年、主演・田中直樹) 2点
12位『悪魔の弁護人・御子柴礼司〜贖罪の奏鳴曲〜』(フジテレビ系、2019年、主演・要潤) 2点
15位『都会の森』(TBS系、1990年、主演・高嶋政伸) 1点
15位『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜』(テレビ朝日系、2018年、主演・米倉涼子) 1点