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《役所広司主演『PERFECT DAYS』でも注目》渋谷区が開催する「公衆トイレツアー」が人気、“おもてなし文化の象徴”と見立て企画が始まる

撮影前には清掃員に“弟子入り”。終了後には太鼓判を押されたという(時事通信フォト)

撮影前には清掃員に“弟子入り”。終了後には太鼓判を押されたという(時事通信フォト)

 日本人はしばしば、トイレ掃除に単なる清掃以上の意味を持たせている側面がある。そんな「日本におけるトイレ掃除」を主人公の日常として描いた映画『PERFECT DAYS』がロングランを続けるなか、ついに「日本のトイレ」が観光地化したという──。

 ツアーの集合場所は、東京都渋谷区のとあるシティーホテルの車寄せだった。集まったのは、イギリスから観光で訪れたという60代の夫婦と、ハンガリーから来日中の60代の夫婦、そして、神奈川県から参加したと話す日本人夫婦だ。用意された車に乗り込むと満席の車内で、ボランティアガイドが英語と日本語でかしこまって言う。

「みなさん、このツアーにはトイレ休憩はありませんのでご注意ください!」

 車内がどっと沸いた。最初の目的地は、閑静な高級住宅街にある渋谷区立鍋島松濤公園。水車と池がある日本庭園風のこの公園は、遊具も豊富だ。しかし、一行がまっすぐに向かったのは、公園内の「公衆トイレ」。到着するや否や、参加者は一斉に写真を撮り始めた──。

 3月2日から開始した渋谷区観光協会オフィシャルツアー「THE TOKYO TOILET SHUTTLE TOUR」が、主に外国人観光客の間で爆発的人気を誇っている。内容は、東コース(8か所)、西コース(9か所)のいずれかに分かれ、ガイドの案内で渋谷区内の公衆トイレを巡るというものだ。

 所要時間は約2時間半で、約5000円という価格ながら、参加希望者が続出。ツアーを運営する「NearMe」の担当者によれば、これまでに200人弱が参加したという。ツアーに参加したイギリス人女性が興奮気味に話す。

「イギリスでは、外出時は飲食店かデパートのトイレを使います。公衆トイレは臭いし汚いし、安全とも言い切れないから、なるべく使いたくない。それに比べて、日本の公衆トイレは清潔感が段違いです」

 満足そうにトイレの写真を撮り終えたハンガリー人の女性も続ける。

「ハンガリーには無料の公衆トイレはないし、飲食店やショッピングモールにあるトイレはきれいとはいえません。温水洗浄便座や水音を流す機能があるなんて! 日本は公衆トイレでも工夫がされていて素敵だと思います」

 日本では全国各所に公衆トイレが設置されているが、実は、公衆トイレ界の“最高峰”が渋谷区には存在する。「THE TOKYO TOILET」(以下、TTT)プロジェクトの一環で有名建築家らによって作られた17か所のトイレだ。

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