年齢を重ねるとともに、白目がくすんできたと感じる人も多いのでは? 老けて見える原因にもなる目のくすみを解消するにはどうすればいいのか。専門家に教えてもらった。
【教えてくれたのは…】
有田玲子さん/伊藤医院眼科副院長。眼科医・医学博士。ドライアイ治療に定評があり、自身のYouTubeチャンネル『眼科医有田玲子先生のドライアイ診察室』が好評。
大人の目がくすむ原因
【1】目の炎症
「花粉やホコリ、黄砂、PM2.5などが角膜に付着したり、強い紫外線などの外的刺激を受けたりすることで目に炎症が起こります。その結果、白目が充血して、くすんだ目になります」(有田さん・以下同)
【2】加齢
「目を組織しているコラーゲンなどのたんぱく質は加齢とともに変性し黄色くなります。また、目の表面が傷と修復を繰り返すことも、白目が透明感を失う原因になります」
【3】中性脂肪が高い
「まつ毛の根元にある『マイボーム腺』は、涙の蒸発を防ぐために油分を分泌しています。中性脂肪や悪玉コレステロール値が高くなると、その油分が黄色に変色するため、白目が黄色く濁って見えるように」
【4】目の酸素不足
「目は、スマホ使用時のまばたき減少、コンタクトの長時間使用、ドライアイなどが原因で酸素不足に。すると、目に酸素を運ぶために結膜の血管が拡張し、充血や白目の濁りが起こります」
涙の量を増やして白目の透明感をアップ。目のくすみを消すメソッド
●目を温めてマイボーム腺の詰まりを溶かす
マイボーム腺は、涙に必要な油分の出口だが、詰まっている人が多いという。「まるでタピオカのような、白い油の塊で詰まっている人も。ホットタオルなどで目もとを温めて油を溶かすのが効果的。38~40℃の温度で5分以上しっかり温めると、油が溶けて詰まりが改善します」。
●マイボーム腺を洗って清潔に保つ
マイボーム腺の汚れも、油を出にくくする原因に。「診察すると、汚れが原因でまつ毛の根元にまつ毛ダニがいる人も珍しくないんですよ。とはいえ、デリケートな部分なので、洗顔料で洗うのはNG。朝晩の洗顔後にぬるま湯でしっかり洗いましょう。目もと専用洗浄剤を使うとより効果的です」。
●まばたき運動で涙の量を増やしてうるおいを取り戻す
涙には目に酸素を運ぶ役割があるため、澄んだ目を保つためには涙をしっかり出すことが重要。「目をパチパチすることで涙の分泌を増やす、『まばたき運動』がおすすめ。目の周りの筋肉を使うため、目をパッチリさせる効果も。涙は目にとって最高の栄養なので、目薬を差す前にまずはまばたき運動を試してみましょう」。
【1】パチパチ
2秒間目を閉じて開くまばたきを2回行う。「上下のまぶたをしっかりとくっつけるように心がけて」。
【2】ギュー
上下のまぶたをしっかりとつけて、ギューッと強く目を閉じる。「上まぶたに意識を集中するイメージで。思い切りギュッとすると、目もとのしわの原因になるので注意しましょう」。
【3】眩しい目
目を開いてから、眩しいときのように目を細める。「下まぶたを上に動かすようにするのがポイントです」。
【4】きつね目
目尻と眉毛の間を指で持ち上げて「きつね目」にしたまま、目を閉じるようにする。下まぶたを上に動かすイメージで。
【1】~【4】を5回繰り返す。
●湯船に浸かって血行を促進
「湯船に浸かると全身の血行が促進されるので、目を温めるのと同様の効果があります。アイマスクで目を温めるのが面倒という人は、シャワーだけで済ませず、湯船に浸かって温まるように心がけましょう」
●食事や運動で中性脂肪を下げる
「中高年の患者さんでマイボーム腺の出口が黄色く濁っている人は、中性脂肪や悪玉コレステロール値が高い傾向が。体内の脂は目に見えませんが、目の周りに症状として出るんですよ。動物性脂肪の多い食品を控える、野菜を積極的に摂るなど食事や運動の習慣を見直しましょう」
●オメガ3を含む食品を摂取して涙の質を上げる
涙の質をよくする栄養素の代表は、オメガ3脂肪酸。「オメガ3脂肪酸には、EPAやDHA、ALAの3種類があり、青魚や亜麻仁油、くるみなどに多く含まれます」。
●目薬は規定の量を守る!
目薬の差しすぎは目を守る涙の成分を薄め、ダメージを引き起こす原因に。「“人工涙液”という名称のものでも、涙とは全く違うもの。目薬は規定量を守ることがマスト。また、充血をとる目薬は、目の血管を強制的に収縮させるため、目の酸素不足を加速させることになります」。
●スマホやPCの操作中は意識的にまばたきする
スマホやPCに集中していると、まばたきの回数が激減。「普段の10分の1程度にまばたき回数が減るうえに、上まぶたと下まぶたがくっつかない浅いまばたきになりがち。操作中は、意識してしっかりまばたきを」。
撮影/平林直己 取材・文/青山貴子
※女性セブン2024年5月30日号