韓国の40代以上を中心に幅広い世代がハマり、一大ブームを巻き起こしているのが“トロット”。どこか懐かしく、日本の演歌や昭和歌謡に通ずるメロディーで、「一度聴いたらやみつきになる」という人も多いという。韓国ではヒットチャートを席巻し、街のあちこちでトロットの曲が流れ、タレントショップにはトロット歌手のグッズコーナーができているという。そこで、いま押さえておくべき人気のトロット歌手を紹介する。【全3回の第3回。第1回から読む】
「何はともあれ、まずはイム・ヨンウンです」と、韓国音楽事情に詳しい音楽ライターのまつもとたくおさん。
「イケメンで歌がうまくて、とにかく40代以上の女性たちに爆発的な人気を誇っています。2022年末に韓国の世論調査会社『韓国ギャラップ』の『今年を輝かせた歌手と歌謡ランキング』では、40代以上部門でBTSら有名アイドルを抑え、イム・ヨンウンが1位になりました」(まつもとさん・以下同)
彼の魅力は何と言っても、多彩なジャンルの音楽を歌えることだ。
「日本でも氷川きよしさんが演歌だけでなく、J-POP、ジャズ、シャンソンと多彩なジャンルを歌って幅広い層から支持を得ていますが、イム・ヨンウンもまさにそう。2022年に出したフルアルバム『IM HERO』では、トロット以外にバラード、ロック、フォークなども歌っています。しかも彼の場合、ダンスミュージックも歌えて、キレキレのダンスも披露しています」
トロット歌手はただ、かっこいいだけでなく、人柄も重視されるという。
「イム・ヨンウンは積極的に募金活動をしています。女手ひとつで育ててくれた母親をとても大切にしており、親孝行エピソードもファンの間で支持を集めています。そのほか交通事故の現場に偶然居合わせたときも、心肺蘇生法を行うなど人命救助をした話も報じられ、見た目はよし、歌もダンスもうまくて人としても尊敬できると、ますます中高年層に支持を集めているようです。
まだ日本進出はしていませんが、いまの人気を考えると、近々日本でコンサートやファンミーティングが行われる可能性も大きいので要注目です!」
●イム・ヨンウン(32才)
1991年生まれ。2016年シングルアルバム『憎い/夕立』でデビュー。2020年『明日はミスター・トロット』で優勝しブレーク。イム・ヨンウンシンドロームという言葉が生まれるほどの国民的スターで、2022年には米ロサンゼルスで単独公演も行った。
●パク・ヒョンビン(41才)
「2008年に『シャバン・シャバン』というポップなトロットでブレーク。同曲で2011年に日本デビューも果たし、有線の歌謡曲チャート1位を獲得しています」(まつもとさん・以下同)
●ソン・ガイン(37才)
2019年『明日はミス・トロット』で優勝。「イメージカラーはピンクで、コンサートではファンがピンクのTシャツを着て応援するのが定番です」。
●イ・イギョン(35才)
ドラマ『私の夫と結婚して』に出演した話題の俳優。2020年に『定時退勤』でトロット歌手としてデビュー。日本での初ファンミーティング(7月21日)では生歌を披露することが発表されている。チケットは完売し、追加公演が決まっている。
●ナ・フナ(77才)
1985年日本でも『みなと恋唄』(羅勲児名義)でデビュー。「トロット界の大御所ですが、近年『Change』でダンストロットにも挑戦しています」。
●K4
「2023年10月に日本進出した韓国人男性4人組ボーカルグループ。韓国ドラマ『冬のソナタ』の主題歌『最初から今まで』などドラマの挿入歌のカバーを中心に歌い、日本全国で地道にPR活動を行って、2月14日にはUSEN洋楽リクエストランキングで1、2位を独占しました」
(了。第1回から読む)
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2024年5月30日号