今年4月からYouTubeへの定期的な動画投稿を始め、完全復帰へのカウントダウンが始まった中森明菜(58才)。スキャンダルや長期休業を経ても、多くのファンに愛され続けている理由や昭和の歌姫が令和に復活することの明暗について、有名人批評に定評があるライターの仁科友里さんが当時の時代背景などを踏まえながら分析する。
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こういう人はもう出てこない。中森明菜さんは、それくらい稀有な歌手だと思うのです。
80年代に20代の若さで日本レコード大賞をはじめとした数々の賞を受賞し、日本の歌謡界のトップに立った感のある明菜さん。歌唱力や表現力もさることながら、アイドルという枠におさまらない衣装選びのセンスの良さも注目の的でした。その一方でプライベートは不安定で、交際していた近藤真彦の自宅マンションでで自殺未遂騒動を起こし、その後休業。復帰するものの、頻繁な所属事務所の変更が報じられました。2010年に体調不良による無期限休業が発表された時は事実上の引退かと思われましたが、2014年にはNHK紅白歌合戦に出場するなど、明菜人気の根強さが証明された形となりました。
7月にはリアルイベントでファンの前に復帰予定
昨年8月30日に公式X(旧ツイッター)、12月24日には公式YouTubeチャンネルを開設し、復活が近いことを感じさせていました。そして、明菜さんの誕生日である7月13日に合わせてファンクラブの会員向けイベントを開くことが発表されました。ディナーショー形式のイベントは、自身の誕生日にかけたのでしょうが、価格が税抜き7万1300円とかなり高額なことも話題になっています。
生き馬の目を抜く芸能界では、理由の如何を問わず、ブランクが長ければ忘れさられてしまうもの。明菜さんの場合、休業と復帰を繰り返していますから、復帰を願うファンをある意味裏切っていると言えないこともありません。しかし、YouTubeチャンネルで披露した往年の名曲、「スローモーション」や「北ウイング」のセルフカバーが驚異的な視聴回数を記録していることでもわかるとおり、明菜さんはファンクラブに入会している生粋のファンだけでなく、人々の記憶にしっかりと残っていて、存在感を増しているように感じるのです。今回はその理由について、考えてみたいと思います。