14才でのプロデビュー以来、初めてのスランプに直面する令和の絶対王者・藤井聡太八冠(21才)。まさかの敗戦続きに、要因を巡ってファンも棋士仲間も紛糾している。そんな中、本誌『女性セブン』が着目したのは将棋と同じくインドの「チャトランガ」に起源をもつ、あのゲーム。果たして真相は──。
これまで数々の新記録を樹立してきた藤井聡太八冠の快進撃にブレーキがかかり始めた。5月2日に行われた「叡王戦」の第3局で同い年のライバル・伊藤匠七段(21才)に敗戦。伊藤には4月20日の第2局でも敗れており、タイトル戦の連敗は、藤井自身初のこと。さらには19日の名人戦でも、これまで12連勝と“カモ”にしてきた豊島将之九段(34才)相手に苦杯をなめた。
「叡王戦は5番勝負で、伊藤さんに対し藤井さんは1勝2敗とあとがない“カド番”に追い込まれた状況。5月31日の第4局で敗れれば、初めてタイトルを失うことになります。これまで見たことがないくらいの絶不調なので、『これから立て続けにタイトルを落とすのではないか』という悲観論まで広がり始めています」(全国紙将棋担当記者)
約1か月の間にタイトル戦3敗という、天才が突如立たされた窮地。スランプの原因はいったい何なのか──。将棋ファンの不安は募るばかりだが、ある有名棋士が “思わせぶりな発言”をしたことで火に油を注いだ。漫画のキャラクターにちなみ「魔太郎」の愛称で親しまれている渡辺明九段(40才)である。5月3日に開かれた渡辺のトークショーに参加した人によれば、渡辺は藤井についてこう語ったという。
「今月はなんか藤井の調子が悪いように見えた。永瀬(拓矢九段・31才)に聞いたら答えを言ってくれたがそれは内緒。ここでは言えない」
この発言をきっかけにファンの間で「答え合わせ」がヒートアップしてしまったのだ。
「渡辺さんは原因が何かまでは言及していないのに、『チェスに熱中して将棋が疎かになったからに違いない』という臆測が噴出しました。今回、渡辺さんが“答え”を聞いたという永瀬さんは、藤井さんの練習相手で、藤井さんにかなり近い存在。いつしか『プロ棋士たちは藤井さんの不調はチェスが原因とみている』と拡散されるようになったのです」(将棋連盟関係者)
この一部ファンの“思い込み”に渡辺も焦ったのかXで、
《昨日のトークショーでチェスの話は全くしてないし、そんな話はないです》
《多方面に迷惑がかかるので、そんな話はないし、してない、と明確に否定しておきます》
と火消しに走る事態に。
渡辺の発言の真意はさておき、藤井の不調はチェスへの傾倒にあると考えるファンや愛好家は多いようだ。
「藤井さんのチェス好きはかねて有名で、数年前からは『チェス・プロブレム』というチェス版の詰将棋に熱中しています。『息抜きのつもりが、なかなか解けなくて、時間を取られることもある』と本人が語ったこともあります」(前出・全国紙将棋担当記者)
棋界にはチェス愛好家は多く、藤井が「(チェス・プロブレムで)挑戦したい」と名を挙げたこともある青嶋未来六段(29才)は、チェスの日本選手権優勝経験者だ。平成の最強棋士・羽生善治九段(53才)もチェス愛好家として知られ、2004年に国際チェス連盟(FIDE)のタイトルで上から3番目の「FIDEマスター」を獲得している。
今年4月、早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」のドラフト会議でチームリーダーを務めた藤井が、チームメートにこの2人を指名した際にも、藤井のチェス好きは話題に上った。
「ファンたちは『藤井さんがチェス好きの棋士を集めた』と大盛り上がりでした」(前出・全国紙将棋担当記者)
ただ、そのチェス好きな先輩は、チェスに没頭した結果、自身の将棋キャリアに悪影響を及ぼしていた。