南シナ海にある南沙諸島の3つの島で、中国による軍事要塞化計画が進んでいることが分かった。中国は現在、南沙諸島の3つの島を実効支配し、軍事基地などを建てている。そこに地下施設を作り、上層部を軍関係者の居住スペースとし、下層部を大型ミサイルや装甲車などの兵器の保管場所とする計画があるという。
建設が始まれば、南沙諸島の領有を主張しているベトナムやフィリピンなど東南アジア諸国や、南シナ海の自由航行を主張する米国の反発は必至だ。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
この地下要塞化建設計画案は、中国海洋大学の研究チームが中国軍の依頼を受けてをまとめたもの。
中国が実効支配している島々の地上部分は飛行場や戦闘機の格納施設、軍兵士の居住施設などで過密化しており、これ以上、基地を拡充することは不可能な状況だ。さらに、地上部分は台風や風水害などの災害に見舞われることが多く、あらゆる機器や施設が高温多湿や塩水、強い紫外線にさらされ、腐食するなど機器の劣化問題は深刻だという。
これらの島々の基地の航空機の電子機器の故障率は、中国本土の空軍基地に駐留する航空機の1.9倍にも達し、熱帯の海洋環境におけるエアコンの寿命は通常使用する場合の半分以下過ぎないといわれる。
これらの問題を解決するために、島の地下を掘り進んで居住部と兵器保管場所を新たに設けることで、自然環境から受ける被害が軽減でき、強固な軍事要塞化が実現できるというわけだ。
難点は、南沙諸島の島々はサンゴ礁でできていること。そのため。掘った部分をどうように固めていくかが課題となっている。
中国は、南沙諸島の7つのサンゴ礁を拡張戦略の一環として人工島に作り変え、海抜数メートルの人工の地盤を建造している。同大でのモデルを使った実験室での試験では、これまで建設した地下に海水の侵入や地盤沈下などの二次災害なしにトンネルを掘削できることが確認されたという。
いずれにしても、計画が進めば、東南アジア諸国との一層の緊張感の高まりは避けられない。