『はる』として必死に生きた当時

『はる』として必死に生きた当時

──石川県や能登とは、『はるちゃん』以前から所縁があったんですね。

「18歳で『無名塾』に入った私は、成人式も中島町で出席させてもらっているんです。今回の地震で、そのときのことも改めて思い出しました。式の集合写真を久しぶり引っ張り出してきて、『みんなどこで暮らしているんだろう。被災した子はいるだろうか』とか『無名塾で昔からお世話になってきた方たちは、大丈夫だろうか』と、いろいろなことを考えました」

──被災地の復旧・復興がある程度進むまでは、おいそれと訪問するわけにもいかないので心配ですね。

「私にできることはなんだろうと、何度も何度も考えました。『応援したい』『元気になって欲しい』と言うのは簡単ですし、現地へ行って何かお手伝いをしたり、元気づけたりしたいのも当然です。ただ、そうした行動が本当に被災地や被災者のためになるのかは難しいところもありますし、こちらの気持ちが押し付けになってもいけない。みなさんが復興していこうとするときに、そっとアシストできることがあればいいのですが……」

──これも安易に言えることではありませんが、中原さんのお仕事や歩み、能登や石川県との繋がりを考えると、『はるちゃん』という作品を通して、被災地を元気づけることもできるのかもしれません。

「もちろん、私も思いました。すごく思いました。ただ、それを受け取る側の感じ方は人それぞれですよね。『わぁ、はるちゃんだ。懐かしい』と喜んでくれる方もいるかもしれませんが、『こんなときに……』と思われる方もいるでしょう。こちら側の自己満足や押しつけになっては絶対にダメ。今は、生活を取り戻すことが第一だと思います」

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