6月1日、東京・靖国神社で事件が起きた。入り口の石柱に赤い文字で「Toilet」と落書きされているのを通行人が発見。同じ頃、中国語を話す男性が石柱に向かって放尿する仕草をした後、スプレーのようなもので文字を書く姿を映した動画がネット上に出回った。
あまりに侮辱的な行為に怒りの声が噴出したが、男性は犯行の5時間後には中国に出国。日中間の大問題に発展した。靖国神社の男性清掃員が言う。
「書かれた直後は警察が集まって物々しかったが、落書きは翌朝には消され、ブルーシートも外されました。いまは時々写真を撮りに来る人がいる程度です」
中国人の反応は“賛否両論”
騒動が拡大していくのを受けて、6月4日には上川陽子外相が中国側に懸念を表明したが、事件の捉え方は日中で異なるようだ。中国に詳しいライターの西谷格氏が言う。
「中国外務省の毛寧報道官は記者から事件について問われた際、苦言を呈したものの、靖国神社については『日本軍国主義が発動した侵略戦争の精神的な道具であり象徴』と非難しています」
事件への中国人の反応はどのようなものか。
「落書き男は中国では日本で言うところの“お騒がせYouTuber”のような位置付けで、これまで何度もアカウントを凍結されてきた過去がある。そのため良識的な中国人は『PVを稼ぐためにやっただけ恥ずかしいことだ』と感じているようです。
ただ、男性が日本メディアの取材に『日本政府への抗議のつもりでやった』と答えたことも影響してか、一部には過激な反応もあります。中国のSNS『微博(ウェイボー)』では『英雄による義挙』『落書きではなく“訂正”しただけ』など英雄視する動きもあります。今後、彼らがどう処分を受けるのか注視していきたい」(同前)
日本の警察も器物損壊容疑などで捜査を進めており、お咎めなしで終わらせられる話ではない。
※週刊ポスト2024年6月21日号