放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、二番目の力作『丸ごと一冊高田文夫』について綴る。
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さしずめページの私物化? 週刊ポストとは長いつきあいなのでここはひとつ甘えさせて頂いて。なんたってこの号が発売される1日前、つまり6月6日が私の「新刊」の発売日という訳なのだ。
そりゃ分かっております、天下の小学館です。いま一番売らなきゃいけないのは「第30回小学館ノンフィクション大賞受賞」、細田昌志の快著『力道山未亡人』です。素晴しい出来でした。ドキドキワクワクが止まらず3日間寝込んだほどです。
新婚生活わずか半年、遺された負債は30億円。こんな大変なことを私は知らずにここまで75年も生きて来てしまったことを恥入ります。『力道山未亡人』は力作です。
今の時代、二番目の力作はなにかと言うとこの私の『月刊Takada芸能笑学部 丸ごと一冊高田文夫』(飛鳥新社)です。320ページというお楽しみが、伝説の編集長・花田紀凱(81歳・現役バリバリ)のひと声で「オールカラー!」というぜいたくさです。
「その代わり高田サン、子供の時の写真とか、カミさんの写真とか、なんなら昔の女の写真とか全部出して。75年分の爆笑資料全部載せちゃおう」
号令一下、資料探しも大変です。大学出て2年目で、すでに一本立ちで台本を書いたもの(表紙に構成高田文夫と一枚看板で書いてあります)。天才の予兆です。書きまくった台本やら100冊ある著作物、出版物もすべてカラーで載せてあります。集大成にもほどがあります。75にして「中尾彬さんの真似して終活ですか」なんて声もきこえます。
本業である“大衆芸能”に関するエッセイはタップリ載せてあるので御安心下さい。「志ん朝」「談志」「漫才」「TVとラジオ」「寄席風情」「東京という町」。なにやら自分が小さな夏目漱石、安藤鶴夫、永六輔になったように、好きなものには筆が走ります。「ペン」と「マイク」の二刀流(これより重い物は持ったことがない)。30~40代の頃はこれに「扇子」も加わって立川藤志楼で独演会三昧。この頃のチラシやポスターもいっぱい載っております。
私と談志、私とたけし、私と勘三郎もいっぱい。「雑誌なんだから対談がなきゃ駄目。高田さんのコネで一番豪華なヤツ。クドカン(宮藤官九郎)と爆笑の太田と……カミさん出るの嫌がってるんだろ、かわりに長男出そう。ヨシッ決まり」だと。前代未聞“親子対談”。
この本がやっとこさ書店に並んだので、いよいよ6月28日は「ラジオビバリー昼ズ35周年」イベント(国際フォーラムA)です。ちなみにこの本も表紙から、中のイラストみなここと同じ佐野クンにやってもらいました。
※週刊ポスト2024年6月21日号