コロナ禍で急拡大したオンラインヨガの一コマ。初心者がいきなり一人きりで挑戦するには危険なこともあるので要注意(イメージ、EPA=時事)

コロナ禍で急拡大したオンラインヨガの一コマ。初心者がいきなり一人きりで挑戦するには危険なこともあるので要注意(イメージ、EPA=時事)

 医師である伊藤さんからすれば、医学的に問題がある行為を薦めている動画だと思っているが、こういう場合に「見るな」とは言わない。なぜかというと、患者が医師を不審がったり、場合によっては逆上することもあるからだ。

「そんな動画を信じてはいけないと言うと、患者さんは自分が間違っていたのか、騙されていたのかと落ち込まれたり、逆に私の言うことなんか信じられないと、怒って帰られる人もいる。今、医師の私と面と向かってお話ししているのに、なぜネットのほうを信じようとしたがるのか。まして私のところに来ているのに、さっぱりわかりません」(伊藤さん)

 かつてネット発の情報は、とりあえず疑ってかかれ、ソース(情報源)を確認するのが当然と言われており、実際に確かめてから受け止める人が多かった。ネット情報は”玉石混交”ともいわれ、多くの偽情報の中から、正しい情報を見つけ出す能力こそが「ネットに強い」ともされたと筆者は記憶している。

 ところがSNS、とくに動画共有の仕組みが発達してからは、急速にその習慣が廃れ、新聞やテレビ、雑誌といったいわゆる「オールドメディア」より信頼できる存在として受け入れられつつある。当然その背景にはマスメディアへの不信感もあろう。人間は「信じたいものしか信じない」と、よく言われるが、SNSの台頭で、その傾向に拍車がかかっているのかもしれない。

 ネットで見たものをすべて信じるな、と言うつもりはない。信じることで生きやすくなることもあるだろう。しかし、気をつけたいのは、信じた情報が真正であればよいが、それが間違っていた場合、指摘してくれる人は誰もいないという事実についてだ。間違った情報をあえて拡散する人たちも存在し、そう言った人々に感化されながら間違った道を邁進せざるを得ない状況に追い込まれるわけだが、当人はそれに気が付かず、その間に病状を悪化させるなどしてしまう。

「セルフ整体で体を痛めても、しっかり正しい施術をすれば回復はします。でも、そういう患者さんは回復前に来なくなったり、別の動画を見て、新たなセルフ整体にチャレンジしてまた来院される。情報が多いのはいいことですが、間違った情報が氾濫している現状は、医師としても頭が痛いです」(伊藤さん)

100円ショップDIY動画の罠

 SNSや動画サイトの台頭が、市民間の情報伝達に寄与していることは事実だが、前出の整形外科医・伊藤さんが言うようにさまざまな弊害も孕む。大分県在住の農業・仲野亮さん(仮名・30代)は、同居の母が自宅内のあらゆる場所を「改造」し始め、さらに百円ショップに足繁く通うようになり不思議に思ったという。原因は、最近母が見始めたという動画サイトだ。

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン