香港の主要銀行、香港上海銀行(HSBC)などが、民主化運動などで逮捕され、懲役刑などの刑罰を受けた活動家の銀行口座を本人には無断で閉鎖していたことが明らかになった。その数は約3000人に上るとみられる。
香港金融管理局が定めた銀行業務規範によると、銀行は「顧客に口座を閉鎖する理由を提供する必要がある」と規定されており、銀行側は業務規範を無視したことになる。香港の非営利ニュースサイト「香港フリープレス(HKFP)」が報じた。
懲役刑を終えて出所してきた、ある元活動家は、自身の銀行口座から現金が引き出せないため、銀行に問い合わせたところ、「すでに解約されている」と告げられたという。他の3人の活動家仲間に問いあわせたところ、同じような事態になっているとの返事が返ってきたという。
香港の銀行が民主化運動に関与した個人の口座の凍結や閉鎖したと報じられたのは今回が初めてではない。
HSBCは昨年、民主化団体「社会民主党連盟(LSD)」が保有する3口座を閉鎖した。HSBCばかりでなく、やはり香港では主要な銀行であるハンセン銀行、中国銀行も、LSDのメンバーの個人口座を閉鎖したことを認めている。
また、これ以外にも、多数の元民主化活動家から「口座から現金を下ろすことができなくなった」との声が寄せられている。
香港警察によると、香港では反体制的な言動を取り締まる香港国家安全維持法などに対する抗議行動に関連して逮捕された人は1万279人で、今年3月末の時点で、その30%未満にあたる2961人が司法手続きを受けたという。
香港の法律では、警察は裁判所の命令を受けることなく、犯罪行為に関与した疑いのある人物の口座を凍結するよう銀行に要求することができるが、銀行は事前に顧客に対して、口座凍結または閉鎖の理由を説明しなければならないことになっている。
今回の場合、銀行側は必要な口座閉鎖の手続きをとっていない可能性が高いことは元活動家らからの証言で明らかだ。