佐藤愛子さんのエッセイを原作とした映画『九十歳。何がめでたい』が現在公開中だ。物語は、断筆宣言をした90歳の老作家・佐藤愛子(草笛光子)が女性誌『ライフセブン』の編集者・吉川真也(唐沢寿明)に連載を依頼されるところから始まる。何度断っても諦めない吉川に、破れかぶれの気持ちで再び筆を執り、90歳を過ぎて感じた時代とのズレや違和感、身体の衰えをユーモラスに綴ると、刊行した単行本『九十歳。何がめでたい』がまさかのベストセラーになって──という国民的エッセイ誕生までの物語だ。
『王様のブランチ』(TBS系)の映画コーナーでもお馴染みの俳優でタレントのLiLiCoさんが演じるのは、愛子の行きつけの美容師だ。
「実は私、芸能界に入るか、美容師になりたいと思っていたので、どっちも叶っちゃったという嬉しさがありました。
しかも、主演の草笛さんと一緒でしょ。主演と絡めるというのはこんな光栄なこと、ないんです! 途中で殺されもせず、悪役でもない役というのも、なかなかないですし(笑い)。ウイッグをかぶって、ほとんどスッピンで出演しています」
登場するのは2シーン。最初に登場するのは原作『九十歳。何がめでたい』の最初の一編に出てくるあの場面だ──。
「九十といえば、卒寿ですか。おめでたいですねぇ。白寿を目指してどうかがんばってくださいね」
誰にも理解されない孤独を抱え、街をとぼとぼ歩く愛子がひとり叫ぶ。
「九十歳? ナニがめでてえ!」
映画コメンテーターとして映画を見た感想はどうだったのか。
「私は常々、映画は人生に役立つヒントを運んでくれる娯楽だと思っているんです。だから、いっぱい映画を見ると、人生も明るくなるし、器も大きくなる、と。この映画はそうした意味で、映画の魅力がぎっしり詰まった作品ですよね。小さなお子さんからお年寄りまで、どの年代の人も楽しく見られて、99分という長さで、気持ちよく劇場を出られます。
たまには親子やお孫さんと映画館に行くのって素敵じゃないですか? この映画を通して、家族がもう一回繋がるというか、家族団らんの時間のいいツールになるんじゃないかと思いました」
そしてもうひとつ、この作品の出演者の豪華さにも注目する。
「マモさん(宮野真守)だったり、私を日本のセックスシンボルと呼ぶ三谷幸喜さんだったり(笑い)、清水ミチコさんやオダギリジョーさん、木村多江さん、石田ひかりさん……キャストが本当に素晴らしいですよね。あと、唐沢さんがすごく癖のある面白い役をやっていて嬉しくなりました。唐沢さんが出てくださったことで、すごく映画が締まったと思います」
※女性セブン2024年7月4日号