放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、76歳の高田文夫氏が好きな年長者たちについて綴る。
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放送と同じ様にこの雑誌もライブ感だけでやっている。この号が出る6月28日は私のラジオの35周年で今頃有楽町の東京国際フォーラム・ホールA(5千人収容)でいつもの様にバカな事だけ言って爺ィ・婆ァ・少しの若者相手に爆笑をとっている頃だろう。76歳になったばかりなのに前売即売というのは大したものなのだ。
自慢ばかりですいません。『月刊TAKADA芸能笑学部 丸ごと一冊高田文夫』も発売二週間でたちまちの三刷です。自分で自分の人気にあきれ返っております。
そこで後期高齢者の私の今回の本題。私は年長者が好きだという話だ。周りに居る若い者と違い、私は年長者には常に畏敬の念を持って接しています。その昔には立川談志やら永六輔、世間からは小難しい人だと思われていた人達のフトコロに入っていくのが好きだし、うまいのだ。どんな失礼な事をこっちが言っても心の中には「畏敬」だから大丈夫。そばに行くのをおびえて何もしゃべれないのが一番人として失礼なのだ。
「老婆は一日にして成らず」そのキャリアを認めるべきだ。私は今でも92歳の野末陳平とランチをし浅草ロック座へ目の保養に行く。相撲だって「現役」より「年寄」が好きだ。
NHKでやっていた伊東四朗(87歳)の『老害の人』が終わっちゃってガッカリしていたが、この6月は新橋演舞場で一ヶ月間「熱海五郎一座」の舞台出演。伊東四朗が舞台に現われただけでホワ~~ンとおかしみのオーラに包まれる。多幸感とでも言うのか。演出の三宅裕司も何かあったら大変と細心の注意。東京喜劇のバトンは確かに渡された。
映画の方で話題は「90歳」を演じる草笛光子。この美しさ、たしか小学生の頃TVが初めて茶の間に来た時、日本初の本当のバラエティ『光子の窓』で見ていたお方。いまだに主役。「次は100歳をやりたい」と言ってるとか。あの「窓」は当分閉じそうにない。
そんな年増好きな私にドンピシャな番組がBSでも一番端の「12」で月曜夜9時。『鶴瓶ちゃんとサワコちゃん』。鶴瓶・阿川佐和子より年上の人をゲストに昔の話をきくのだがこれが面白い。中にはボケちゃって話のツジツマの合わない人も何人か。昨年10月スタートで第一回が由美かおる、そして中村メイコ、養老孟司、セルジオ越後、岩下志麻、小林旭。圧巻は芳村真理。あい変わらずおしゃれできれいなのだが「ピカソと5年前に食事した話」には一同「ン?」ADあわてて調べて鶴瓶に「1973年に死んでます」と耳打ち。鶴瓶思わず「死んどるやないかい!」トークもゲルニカだった。
※週刊ポスト2024年7月12日号